凍結で立ち往生の飛行機、乗客が押して離陸 シベリア

シベリアのケメレボにある雪原〔AFPBB News

 過日もお話したシベリアの強制収容所から帰還された石黒貞彦少尉殿(『盲導犬クイールの一生』の石黒謙吾さんの伯父さんに当たられます)。

 収容所の生活はおよそ地上で考えられる最低なものでしたが、そこでも「石黒作業隊」は希望をもって毎日の強制労働をポジティブに捉えた。

 そうやって一つひとつ、過酷な運命のなかで工夫する精神の余裕「心の栄養素」を絶やさなかったことで、少尉殿の作業隊はほぼ全員が生きて本土帰還=「ダモイ」することができた。

 「精神一到何事かならざらん」などと言うと悪い意味での「精神主義」みたいですが、心の置き所がどれだけ大切か、という観点からは、希望のもたらす力に、ただただ敬服するばかりです。

 で実はこの石黒少尉殿が「お土産」として下さったのが「能登の海苔」だったんですね。もてなしに出してくださった山盛りの苺の大半が残ったのとあわせて「私たちでは食べ切れないですから」と奥様が包んでくださいました。

 「これは地元でもほんの少ししか取れない最高のものです。どうか召し上がって下さい」

 そんなふうに少尉殿から頂戴した海苔、帰ってすぐに開けて、まずつまみ食いしてみたところ・・・本当においしい! それだけで満腹になってしまう。それを初回の書き出しに記したわけです。

 8月15日に予定している「哲学熟議」では、ビデオ・メッセージになる可能性がありますが、石黒少尉殿(復員後、大尉になられましたので、本当の位階は違っており、失礼をお詫びしながら記しています)にも当時のお話をお伺いする予定です。

 追悼としてバッハの無伴奏チェロ組曲から、また私の「アンリ・デュテュユの墓碑銘」を、若い石崎美雨さんのチェロで演奏し、往時を偲びつつ今日そして明日を考えたいと思います。お申し込みはgakugeifu@yahoo.co.jpまでメールでお願いします。

 さて、実はいま、この原稿はイタリアのフィレンツェからドイツのベルリンに移動しながら書いていますが、何を隠そう、遠く日本を離れた欧州にも「能登の最高のワカメ」を持参して、少しずついただいています。