人の流れが計算され尽くしたベルリンオリンピック・スタジアム駅。写真は筆者

 今回は「微笑」と言うより「苦笑」に近い話題なのですが・・・。

 「新国立競技場」を巡って、いろいろなニュースが飛び交っています。ラグビーで6万人級のスタジアムが必要、サッカーだと8万人級で、8万人を収容する計画になった云々と言います。

 さて、ただ単に報道されていないだけかもしれず、また私が不勉強なだけかもしれませんが、そんな大人数をどうやって、千駄ヶ谷やら代々木やら近辺でさばくつもりなのか、人の動線といった話がトンと出てこず、不思議に思っています。

 8万人、人が入ると言うことは、最初の1人目から7万9999人目まで、順番に出入りしていくわけです。

 私が少年時代育った近くには「西武球場」があります。鉄道とリンクした球場ですから、人が集中したとき混乱しないよう、十分に配慮された改札やプラットホームの設計になっています。

 各地の野球場やサッカー・スタジアムの最寄り駅がどのような設計になっているか、詳しいことは知らないのですが、10万人級の人出と言うと夏の花火大会が思い浮かびます。

 楽しいはずの花火大会で、押し寄せた人が歩道橋などで雪崩状に転んで大惨事といったニュースもありました。

 これだけ狭くあれこれ建て込んだ東京のど真ん中に、新たに8万人クラスのスタジアムを作って、そこにどういう動線で人の出入りをデザインしようとしているのか。

 少なくとも安藤忠雄氏なり政治家なりの説明を聞いている限り、全く分からなかったというのが、正直なところです。まさか、今のままの千駄ヶ谷駅で、人の押し寿司を作って一過性のイベントが誤魔化さればいいと思ってなど、さすがにいないと考えたいですが・・・。

 そんなことを考える理由は簡単です。近代オリンピックの原点、ベルリンのオリンピア・スタディオンが念頭にあるからです。