W杯3位のイングランド指揮官、女子サッカーの変革願う

優れたリーダーに求められる能力、資質とは? 女子サッカーW杯カナダ大会・3位決定戦、ドイツ対イングランド。試合後、選手から胴上げされるイングランドのマーク・サンプソン監督(2015年7月6日撮影)。(c)AFP/GEOFF ROBINS 〔AFPBB News

 社会がさまざまな困難に直面している一方で、これらの困難を解決に導くリーダーが不足している。このニーズに応えるには、どのようなビジョンで、どのようなリーダーを育てれば良いのだろうか。グローバルリーダー養成に取り組んでいる経験と、人間の性格に関する認知科学の研究成果をもとに、この難問への答えを探してみよう。

ビッグファイブ:人間の性格は5つに要約できる

 人間の性格は実に多様だ。この多様性を、いくつかの基本的な性質に要約できないだろうか。この疑問に応えるために、科学者は100年以上にわたって、さまざまな研究を積み重ねてきた。その結果、最近になってようやくその答えが出た。人間の性格は5つの基本要素に要約できる。この結果を紹介する前に、「要約」とはどういう作業かについて説明しておこう。

 人間の体型を例に取り上げよう。体型を調べるには、体重・身長・胸囲・腹囲など、体のさまざまな部分の大きさを測定する。これらの測定値の間には、多くの場合に相関がある。例えば、体重が重い人は身長が高く、胸囲や腹囲も大きい傾向がある。主成分分析という方法を使えば、これらの相関した測定値を1つの量(成分)に要約して、「全体的な大きさ」を表すことができる。

 この方法で「全体的な大きさ」を表す量を要約すると、次にはこの量とは相関がない別の成分を特定できる。その成分は、「プロポーション」を表す。「プロポーション」は、体重の割には背が高い(あるいは低い)、といった体型の違いを表す量だ。

 こうやって、人間の体型は、「全体的な大きさ」と「プロポーション」という2つの主成分に要約できる。統計学的な「要約」とは、この例のように、たくさんの測定値を、互いに相関のない少数の量にまとめる作業のことである。人間の性格では、主成分分析ではなく因子分析という少し違った方法を使い、要約された量のことを因子と呼ぶ。この統計的方法によって、人間の性格の場合は、5つの基本因子に要約された。