トヨタが提示しようとしている新しい日本型ガバナンスのあり方とは? 2015年3月期決算発表で挨拶する豊田章男社長(写真:トヨタ自動車)

 トヨタ自動車が発行を決めた新しいタイプの種類株が話題となっている(「種類株」とは、議決権や配当などに関して、普通株式とは異なる権利を持つ株式のことを指す)。その商品性から多くの個人投資家の関心を集める一方、株主総会では既存株主の25%が反対票を投じるなど、否定的な見解も出ている。

 実は、トヨタは今回の株主総会で、種類株の発行と合わせて、新しいガバナンス体制についても株主に問いかけている。種類株の発行と新経営体制はセットであり、これはトヨタなりに導き出した日本型ガバナンスのあり方ということになるだろう。

 トヨタが今回の株主総会でこうしたプランを提案した背景には、安倍政権が進めるコーポレートガバナンス改革への対応がある。トヨタの試みが、単なる日本型経営の延長線上で終わるのか、それともグローバル基準と日本基準の融合を実現した、新しい日本型経営のプロトタイプとなるのか市場は注目している。

事実上の元本保証の株式を発行

 トヨタ自動車は6月16日に開催された株主総会において「AA種類株式」という名称の新しい種類株式の発行を決定した。