日本のコーポレートガバナンスをめぐる状況が大きく変わろうとしている。
直接的なきっかけは、アベノミクスの成長戦略にコーポレートガバナンスの強化策が盛り込まれたことである。成長戦略については、他の2つの矢とは異なり、ほとんど成果を上げていないというのが実情だったが、このガバナンス強化策だけは、唯一の例外といってよい。しかも、改革がもたらす影響は極めて大きく、外国人投資家の日本に対する見方が一変する可能性もある。
ただ、完璧に見える今回の改革にも一抹の不安がある。背後には年金財政の悪化という政府の台所事情が、一連の動きに微妙に関係しているからである。市場関係者の一部は、ガバナンス強化策が、いわゆる「官製相場」の一部に組み込まれていることについて懸念している。
法改正と東証の上場ルール変更で一気にガバナンスを強化
今回のガバナンス改革の柱となっているのは以下の2つの制度である。
1つは、5月に施行予定の改正会社法、もう1つは、6月から適用開始となる東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードである。