この10年間でもっとも改善が進んだ日本人の生活習慣はなにか──。

 5月21日、都内で「本格始動するデータヘルス計画、その意義と展望 医療ビッグデータで実現する健康経営」(アイ・エム・エス・ジャパン主催)というセミナーが開催された。登壇した東北大学大学院医学系研究科公衆衛生分野の辻一郎教授が問いかける。

 答えは喫煙だという。2000年から2011年にかけて、日本の成人男性の喫煙率は47.4%から32.2%へ、女性は11.5%から8.4%へと減少した。この約半世紀、日本人の喫煙率は一貫して減る傾向にあるが、最近になって減少に拍車がかかっている。

社会環境をつくると個人の健康が増進する

 なぜ喫煙率が大きく減ってきたのか。その最大の理由は、「社会全体の環境を変えていったから」である。

 辻教授は次のように説明する。