南シナ海でベトナムに強硬姿勢、中国の狙いは 専門家が分析

南シナ海でベトナムの船艇に放水する中国海警局船(2014年5月2日撮影、同7日提供)。(c)AFP/VIETNAMESE FOREIGN MINISTRY〔AFPBB News

 ロシアの国営武器輸出会社が、中国との間で、最新鋭対空ミサイルシステムS-400を売却する契約を結んでいたことが明らかになった。この新鋭ミサイルシステムの取得によって、東シナ海での中国の「A2/AD戦略」がますます強化されることになる。

アメリカ軍を近づかせない中国のA2/AD戦略

 中国人民解放軍の最大の仮想敵はアメリカ軍である。そしてアメリカ軍に対する中国人民解放軍の基本戦略は「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」と呼ばれている。すなわち、アメリカ軍ならびにアメリカの同盟軍が中国に接近してくるのを、中国沿岸海域からできるだけ遠くの海域でストップさせてしまおう、という構想である。

 この戦略構想を具体的に図式化するために用いられている概念が「第1列島線」と「第2列島線」である(下の図の赤いラインが「第1列島線」、ピンクのラインが「第2列島線」である)。これら2本の防衛線のうち中国から見て外側の第2列島線にアメリカ軍戦力を近づかせずに撃退する、というのが接近阻止(A2)戦略である。そして中国から見て第1列島線の内側は中国が完全に支配すべき領域であり、アメリカ軍戦力を絶対に展開させない状態を維持する、というのが領域拒否(AD)戦略である。

中国の「A2/AD戦略」
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