原油価格のさらなる下落が始まった

「世界金融危機」発生までの悪夢のシナリオ

2015.03.17(火) 藤 和彦
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先週の週間ベースでの原油価格の値下がり率は9.6%となり、2014年12月以来の大幅下落となった。

 国際エネルギー機関(IEA)は3月13日に月報を発表した。月報の中の「米国の原油在庫が過去最高水準となり、近く貯蔵タンクが不足する恐れがある。足下の原油価格の安定はうわべだけのものであり、原油価格底打ちのためにはさらなる生産調整が必要だ」との指摘が材料視されて、16日の時間外取引ではWTI先物価格は2009年3月以来6年ぶりの安値に下落した(1バレル当たり43.57ドル)。

 シェール企業各社は生産効率の悪い産地でリグ(掘削機)の稼動を減らす一方、効率の良い産地では生産量を増やしている。そのため「生産量が減らない」との見方が根強い。

 昨年急落した原油価格が最近まで安定していたのは、要因の1つとして「石油精製会社による原油の安値買い」があったからだ。しかし、その効果も薄れつつある。世界全体で石油の精製処理量が急増したため、石油製品の分野でも供給過剰のリスクが生じつつあるからだ。

 IEAによれば、原油価格の急落にもかかわらず、消費国の燃料需要は依然として増加していない状況にある(中国の2月の原油輸入は国家石油備蓄が一段落したためか、3カ月ぶりの低水準だった)。このような状況下で石油精製会社が今後原油の購入を削減すれば、原油価格の下押し圧力になることは間違いない。

価格の急変動に備える投資家たち

 相場の先行き不透明感が強いため、「原油価格はどこまで下がるのか」という投資家らの悩みは深くなるばかりである。

 「原油市場でオプション取引が拡大している」──。3月14日付け「日本経済新聞」は、原油市場の需給の弛みは改善しておらず、先安観が根強いことから、売る権利である「プットオプション」が目立って増加していることを伝えている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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