先週の米国株式市場
―ギリシャ問題の進展などを受け史上最高値を更新―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は上昇し、ダウ平均やS&P500は史上最高値を更新しました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も14年11ヶ月ぶりの高値をつけました。

ギリシャの債務問題で、2月末が期限だった金融支援について4ヶ月間延長されることがEUとギリシャの間で合意され、ギリシャのEU離脱や財政破綻などがひとまず回避されたことが好感されました。なお、16日はプレジデント・デーのため米国市場は休場でした。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄のうちボーイング(BA)、ナイキ(NKE)、ユナイテッド・ヘルスグループ(UNH)など17銘柄が上昇しました。

<下落>

原油価格が小幅ながら下落したことから、シェブロン(CVX)とエクソン・モービル(XOM)の2社が下落率上位となりました。また、ウォルマート・ストアーズ(WMT)は従業員の賃金を引き上げると発表したことから今後の人件費増加が懸念され、売られました。キャタピラー(CAT)は11―1月の世界機器販売額が前年同期比14%減だったと発表したことが嫌気されました。

先週発表された主な経済指標

1月開催分FOMC議事要旨

18日に1月に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開されました。開催直後に発表された声明文では、利上げについて「忍耐強くいられる」との表現が維持されるとともに、米国経済や労働市場についての見通しが一段強く引き上げられたことから、利上げの早期化観測が高まっていました。

ただ、今回発表された議事要旨で参加者の一部から低インフレの長期化や「忍耐強くいられる」との表現を削除した場合に市場の利上げ時期予想の範囲が狭まってしまうとの懸念が表明されていたことが明らかとなりました。結果的に議事要旨が市場の予想よりもハト派的内容だったことから利上げの早期化観測はやや後退する格好となりました。

今後発表される主な経済指標

2月24日 2月 カンファレンスボード消費者信頼感指数 市場予想 102.9 前月 99.5

24日に2月のカンファレンスボード消費者信頼感指数が発表されます。原油安による可処分所得の高まりなどを背景として米国の消費者センチメントは高水準を保っていますが、先に発表された2月のミシガン大学消費者信頼感指数は予想外に前月から大きく低下しました。

調査対象人数が多く、より調査内容の信頼性が高いとされるカンファレンスボード消費者信頼感指数がどのような結果となるか注目されます。


マーケットビュー
―短期的にやや過熱感あり買い急ぐべき局面ではない―

先週のマーケットビューでは、冴えない経済指標などから積極的な高値追いにはなりづらいのではないかと記しましたが、ダウ平均やS&P500はわずかながら史上最高値を更新しました。

米国株式市場には短期的にやや過熱感が出つつあります。筆者が手元で独自に計算しているS&P500の騰落レシオは20日時点で130に達しました。昨年1年間を振り返ると、騰落レシオが140程度まで上昇した後株価が短期的に調整する局面が複数ありました。もちろん騰落レシオが160を超えても株価が上昇を続けた局面もあり、騰落レシオのみで株価の値動きを予測することはできません。ただ、依然として経済指標には冴えない内容が目立っていることからも、買い急ぐべき局面ではないと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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