先週の米国株式市場
―S&P500は連日で史上最高値を更新―


<先週の概況>

先週の米国株式市場でS&P500は週間で6ポイント高となり14日と15日に連日で史上最高値を更新しました。ダウ平均も週間で81ドル高と続伸し、3月2日につけた史上最高値まで16ドルとなっています。

小売売上高や卸売物価指数が市場予想を下回ったことで利上げが先送りされるとの思惑が高まり、株高が進みました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中21銘柄が上昇、9銘柄が下落しました。ナイキ(NKE)、コカ・コーラ(KO)など消費関連の一角が堅調でした。

<下落>

デュポン(DD)は物言う株主との委任状争奪戦に会社側が勝利したことで、株主還元が進まないとの見方から週間で7%近い大幅下落となりました。ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)はインターネットサービスのAOL(AOL)を約44億ドルで買収すると発表し、小幅に売られました。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(前月比)4月 ±0% 市場予想 +0.2% 前月 +1.1%(上方修正)
小売売上高(自動車・ガソリン除く) 4月 +0.2% 市場予想 +0.6% 前月 +0.7%(上方修正)

13日に発表された4月の小売売上高は、前月比横ばいと0.2%増だった市場予想を下回りました。3月分は+0.9%→+1.1%に上方修正されました。また、変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高は+0.2%と市場予想の+0.6%を下回りました。

小売売上高は3月分が上方修正されるとともに、自動車・ガソリンを除いた売上高も前月比プラスと、決して悪い内容ではありません。ただ、冬場の落ち込みからの持ち直し期待が高かっただけにやや期待はずれといった内容となりました。


今後発表される主な経済指標

FOMC議事要旨(4月開催分)

20日に4月28日から29日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されます。委員会の終了後に発表された声明文では米国経済が冬場に一時的な要因から落ち込んだとの認識や、企業の設備投資や雇用の回復ペースが鈍ったとの認識が示されました。事前の予想通り利上げは行なわれず、かつ全員一致での政策決定となりました。議事要旨では利上げについてどの程度詳細な議論が行なわれたのか注目されます。

また、22日にはイエレンFRB議長の議会証言が行なわれます。先日「米国株は割高である」という趣旨の発言を行ってマーケットを驚かせたことから、今回もどのような発言を行うかに注目が集まります。


マーケットビュー
―タカ派的なFOMC議事要旨とイエレン議長の発言に注意―

先週のマーケットビューでは、底入れしつつあると見られる経済指標を背景として、米国株は一段高となるのではないかと記しました。S&P500が史上最高値を更新するなど、結果的には株高となったものの、今週発表された経済指標は前回発表時からの悪化や市場予想比下振れが目立ち、利上げの先送りが意識されて株が買われるという内容的には想定と大きく異なる結果でした(表参照)。

ただ、雇用統計やISM製造業景況感指数などここへきて発表された経済指標が徐々に底入れを示しつつあり、米国の経済状況は改善に向かっている気配があります。また、1―3月期の米国企業の決算は当初は2009年以来約5年ぶりに前年同期比減益に転じると見られていましたが、5月8日時点のトムソン・ロイター社の集計では2%の増益を確保する見込みとなっています。

今週はFOMCの議事要旨発表に加え、イエレンFRB議長の議会証言が注目です。それぞれ市場の想定よりもタカ派的な内容となれば、株価は一時的な調整となる可能性がありそうです。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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