■ 先週の中国株式市場
―香港株小幅に続伸、中国人民銀行の資金供給を好感―
<先週の概況>
先週の中国株式市場は上昇しました。ハンセン指数はほぼ横ばいで、2万4,682ポイントで引けました。一方、上海総合指数が大幅に上昇し、3,203ポイントで終了しています。ギリシャの債務問題を巡る懸念がくすぶるなか、中国の消費者物価指数などの経済指標が予想に届かなかったことから、先週のハンセン指数は売り先行となりましたが、中国人民銀行による各種の資金供給が好感され週後半には反発しました。
■ 中国株式市場バリュエーション
■ 業種別リターン
■ 香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング
<上昇>
聯想集団(レノボ・グループ)は先々週発表された好決算で引き続き買われ、週間で5%超上昇しました。また、中国人民銀行の資金供給が好感され、金融関連の株が賑わっています。週間で中国平安保険集団(ピンアン・インシュランス)が4%余り上昇したほか、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)も1%以上の上昇となりました。<下落>
一方、匯豐控股(HSBCホールディングス)は富裕層顧客に対する脱税指南の疑惑が浮上したことが嫌気され、週間で1.5%下落しました。また、大手商社の利豊(リー&フン)は目標株価の引き下げにより軟調に推移しました。■ 先週発表された主な経済指標
2月10日 生産者物価(PPI、前年比) 1月 -4.3% 市場予想 -3.8%、前回 -3.3%
1月の中国生産者物価指数(PPI)の前年比は前月の-3.3%から-4.3%に下げ幅が拡大し、市場予想の-3.8%よりさらに悪化しました。品目別の仕入れ価格をみると、燃料が9.9%下落したほか、黒色金属(鉄・マンガン・クロムなど)の価格も9.6%の低下となり、生産者物価を押し下げました。2月10日 消費者物価指数(CPI、前年比) 1月 +0.8% 市場予想 +1.0%、前回 +1.5%
1月の消費者物価指数(CPI)の前年比は 0.8%の上昇と、昨年12月から上げ幅が縮小しました。特に食料CPIは前年比わずかの1.1%の上昇となり、前月の2.9%増より著しく低下しています。中国統計局によると、1月の温度が平均より1.9℃上昇したことにより野菜や果物などの価格が下落したことや、春節(旧正月)時期のずれが1月の物価に大きく影響したこと、1月の国際原油価格が下落しつつあることなどが1月の消費者物価指数が大幅に低下したと考えられます。2月13日 マネーサプライM2(前年比) 1月 10.8% 市場予想 +12.1%、前回 +12.2%
1月のマネーサプライM2は前年比10.8%増と、12.1%増の市場予想を下回りました。また、1月の新規人民元建て融資は14700億元と、13500億元の市場予想を上回りました。さらに、総資金調達額(中国元)は20500億元増と、前月から大きく増加しました。マネーサプライM2の伸び率の低下が続いていますが、クレジットの供給は増加する傾向が出てきたようです。■ 今後発表される主な経済指標
特に重要な経済指標発表はありません。
■ マーケットビュー
―ハンセン指数、ギリシャ不安の後退と中国人民銀行の資金供給で続伸か―
今週のハンセン指数は堅調な展開が予想されます。EUとギリシャの実務者の協議開始の報道でギリシャを巡る不安感がやや後退したほか、中国金融当局が先週に公開市場操作(オペ)で2000億元超の資金供給を行ったことも相場の支援材料になり、先週後半の勢いを引き継いで続伸となりそうです。ただ、春節(旧正月)を控え、取引が閑散となる可能性もあり、上値は限定的と考えられます。こうしたなか、ハンセン指数が心理的な節目の2万5,000ポイントを試すような展開となるかどうかが注目されます。
なお、春節(旧正月)のため、香港株式市場は2月18日午後から2月22日まで休場となり、上海株式市場は2月18日から24日まで休場となります。なお、2月の最終週の本レポートは休刊とさせていただきます。
フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)
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