原油急落、2015年は生産国で経済危機などの恐れも

シリアのクルド人の街デリクに近いラムラン近郊の石油精製所(2013年10月20日撮影)〔AFPBB News

 米国のシェール企業が急速に生産を減らすことはない。そのためOPECは減産を実施する──。

 ブルームバーグの調査によれば、アナリストやトレーダー、投資家の49%が「OPECは今年生産目標を引き下げる必要がある」と予想した。「米シェール企業による減産が進みOPECが生産目標引き下げに踏み切らずに済む」との見通しを示したのは34%だった(「OPEC減産免れず、米シェール層掘削会社との競争で-調査」 )。

 2015年初めにテキサス州の小規模シェール企業が破綻に追い込まれたため、投資家は1986年の「逆オイルショック」の歴史が繰り返されることを懸念し始めていた。

 85年11月からの4カ月間で原油価格が66%下落し、これにより米国の石油企業は、破綻や合併により54%減少した。だが、ここ7カ月の原油価格下落では、30年前のような企業数の急減という事態は生じていない。

 原油価格が1バレル当たり40ドル割れが予想される中、9月にかけて原油の安値が続けばデフォルトが増えるとの見方もある。しかし、ハーバード大学教授のレオナルド・マウジェリ氏は「シェール企業の大量倒産はない」と断言する(2015年1月22日付「日本経済新聞」)。