原油価格の下落が止まらない。
2014年6月にニューヨーク原油市場での先物価格は1バレル107ドルまで上昇したが、12月29日には一時52ドル台にまで落ちた。半年で50%以上の下落である。
米エネルギー業界が描く最悪シナリオ
米エネルギー業界では2015年になっても下落が続くことを予想して、最悪のシナリオが描かれているという。「米経済への大きな打撃」になるという見方が強い。現実になれば日本経済への悪影響も避けられない。
一般的に原油価格が下がると、多くの企業や市民に恩恵がもたらされる。
ガソリン価格が下がって輸送料が抑えられ、石油製品や原材料の価格も下落するからだ。1980年代後半の日本のバブルは、まさに原油価格が10ドルを割った時点からスタートしている。
けれども原油価格の下落が社会によからぬ影響を与えることも考慮する必要がある。それが「米経済への大きな打撃」なのだという。いったいどういうことなのか。
まず時間を11月27日に戻すところから始めたい。
この日、石油輸出国機構(OPEC)はオーストリアで総会を開き、減産を見送った。OPECの加盟12カ国はこれまで、原油価格の下落を止めたい時には生産量を減らすという協調行動を採ることが多かった。