自動車部品大手タカタのエアバッグ問題が最悪の結末へ向かいつつある――。

 これが正直な感想である。このところ、タカタ問題が主要メディアで大きく扱われていないため、事態が収束しているかに見えるが、問題は肥大化しているのだ。

リコール対象車は2000万台にも

エアバッグ欠陥で米当局がタカタを調査

米ミシガン州オーバンヒルズにあるタカタの衝突試験設備〔AFPBB News

 JBpressの読者の方であれば、概要は既知のことかと思うが経緯を簡単に述べたい。

 エアバッグ市場で世界第2位のシェアを誇るタカタは、2004年の自社検査でエアバッグに欠陥があることを把握していたとされる。

 だが、経営サイドは検査結果を破棄するように技術者に指示。しかもエアバッグを搭載する自動車メーカーに欠陥の事実を通告したのは数年後のことだった。こうした事実は米メディアがすでに報じている。

 エアバッグが作動して膨らんだ時に金属片が飛び散る危険性があり、米国内ではこれまで最低4件の死亡事故が起きている。2008年以降、世界中でリコール対象車は約1700万台に及び、この数字は今後2000万台に達する可能性もある。

 だが12月初旬時点で、タカタは全米規模でのリコールを実施していない。米高速道路交通安全局(NHTSA)は強制リコールを求めているが、タカタ側は「全米でリコールをするデータの裏づけがない」と反発している。

 当欄の目的は今後のリコールの行方ではない。米国の訴訟文化を踏まえて、タカタがこれから直面すると思われる厳しい現実を記したい。