安倍首相は「なぜ解散か」の丁寧な説明を
いよいよ明日、12月2日に衆議院選挙が公示される(投票は14日)。世論調査によるとこの時期の解散総選挙に批判の声が多い。私自身、前回のコラムでいま総選挙をやること自体の是非が問われる選挙になるのでは、と書いた。
選挙は明確な争点があるときには、投票率が上がる。過去5回の総選挙を見ると、いちばん高かったのが民主党への政権交代が実現した2009(平成21)年の総選挙で、投票率は69.28%であった。ついで2005(平成17)年、小泉首相による郵政解散で、投票率は67.51%であった。
前回、自民党の政権復帰が実現した2012(平成24)年の総選挙の投票率は59.32%であった。前々回と比較して実に10%も低下しているのである。民主党政権の体たらくぶりへの落胆と自民党の政権復帰が確実視されていたことが相まっての低投票率であったのだろう。
それにしても私が知る限り、解散すること自体への批判や疑問が今回ほど多かったことはない。ほとんどの場合、それが追い込まれ解散であれ、首相主導の解散であれ、ある程度、国民の中でも機が熟した感があったものだ。今回は、それがない。
それも当然のことで、解散前、与党である自公は、合わせて326議席も持っていた。議席占有率は約68%、ほぼ7割という圧倒的多数派を形成していた。政策遂行に十分すぎる議席だ。
自民党の小泉進治郎議員が、「多くの国民の反応は、なぜ、今、解散なのかと。万歳している姿が、余計に国民との距離を生むんじゃないか」として、万歳をせず、また解散直後、安倍首相が党内に檄を飛ばした自民党両院議員総会を欠席した。これは小泉議員だけでなく、大方の国民の感想ではないだろうか。