安倍首相も想定外の圧勝
今回の選挙は文字通りの自民党圧勝である。解散前には、自民党が数十議席減らすと予想した政治評論家も少なくなかった。私自身、自民党微減、民主党微増、共産党倍増以上と予想していた。安倍首相自身、勝敗の分岐点を自公で過半数となる238議席の確保と明言していた。解散前は自民党295議席、公明党31議席で合わせて326議席持っていたわけだから、80議席以上減らしても勝利だと言っていたのである。だが結果は、自公が3分の2の議席を確保する「一強多弱体制」ができあがった。
安倍首相は、仮に議席を減らすことがあったとしても、野党の現状を見れば安定過半数の確保は可能だと確信していたことは疑いない。ただこれほどの勝利を収めるとはさすがに想定外だったはずだ。
安倍内閣の前途は順風満帆か?
私は、今度の解散について、「安倍長期政権目論見解散」と位置付けてきた。解散によって今後4年間のフリーハンドを手にすることができるからだ。多少議席を減らしてもそれは可能であった。それがこの大勝利である。小泉首相は、郵政解散による大勝利によって、カリスマ的な力を持った総理・総裁となった。安倍首相もこの大勝利によってカリスマ的な総理・総裁になっていくのだろうか。
小選挙区制度のもとでは、もともと党執行部が絶大な権力をふるうことになる。小選挙区で党公認を受けることができなければ当選などおぼつかないからだ。ましてやこの大勝利である。派閥の影響力はますます減衰していくことであろう。したがって安倍首相の権威がますます高まることは間違いない。
では安倍内閣の前途は順風満帆なのだろうか。それにはいささかの危惧を感じる。それはあまりにもキレすぎることだ。ネットの投稿に過剰反応したり、野党の国会質問に逆切れしたり、テレビ出演で「街の声」の人選にクレームを付けたりとあまりにも大人気ない対応が目につく。選挙戦でも、非常に攻撃的だった。自民党大勝と言われているなかでも、民主党幹部をターゲットに攻勢を強めた。もちろん選挙戦だから、敵対する候補を攻撃することは自由だ。