なぜか増えていく石油「埋蔵量」の秘密

人類は地中の資源の全貌をまだ知らない

2014.10.09(木) 鶴岡 弘之
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私たちの生活はエネルギーなしでは成り立たない。しかし私たちはエネルギーのことを知らなすぎる。

資源開発は実に不可思議な世界だ。

 住友商事がシェールオイル、シェールガスの開発に失敗し、1700億円という巨額の損失を計上することになった。

 同社は2012年に米国テキサス州の鉱区の権益(30%)を13億6500万ドルで取得した。しかし、実際に採掘してみると、「地質が予想以上に複雑で、採掘コストがかかる」ことが判明した。同社は事業の見通しが立たないと判断し、リース権および井戸などの設備を譲渡する決断を下した。その売却に伴う減損損失の計上である。

 ご存じのように、シェールオイル、シェールガスは地中のシェール(頁岩:けつがん)層から採掘される石油、天然ガスだ。2000年代に入ってアメリカで採掘技術のイノベーションがあり、一気に大量生産されるようになった

石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』(岩瀬昇著、文藝春秋、780円、税別)

 (ちなみに、シェール層から採掘されるオイル、ガスは従来の石油、天然ガスと基本的に品質は変わらない。「シェールオイル」「シェールガス」という固有のオイル、ガスがあるわけではない)

 今回の住友商事のニュースで不思議なのは、それほど「採掘コストがかかる」ことがなぜ事前に分からなかったのか、ということだ。同社は「見通しが甘かった」と反省の弁を述べるが、どれほど楽観的に巨額の投資をしようとしていたのか。素人目には理解に苦しむと言わざるを得ない。

 『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』(文藝春秋)は、石油開発の仕組みやエネルギー業界のメカニズムを一般の読者向けにやさしく解説した本である。著者の岩瀬昇氏は商社で40年以上エネルギー関連事業に携わった。シェール開発プロジェクトでなぜ住友商事のような“事故”が起きるのか、岩瀬氏に話を聞いた。

 石油業界は、門外漢には及びもつかぬ、知られざる常識に満ちた世界だった。石油の「埋蔵量は成長する」ことを、皆さんは知っていましたか?

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JBpress編集長。東京大学文学部卒業。電機メーカー、コンピューターメーカーを経て日経BP社記者に。コンピューター雑誌、美術・デザイン雑誌、ビジネス系ウェブサイトなどの編集や運営、立ち上げに携わる。2008年4月、日本ビジネスプレスの設立に参画しJBpress副編集長に就任。2015年4月より現職。著書に『一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある』『小さな神様」をつかまえろ!』がある。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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