なぜか増えていく石油「埋蔵量」の秘密

人類は地中の資源の全貌をまだ知らない

2014.10.09(木) 鶴岡 弘之
    http://goo.gl/kPPBln
  • 著者プロフィール&コラム概要

岩瀬 掘って生産して元が取れるということです。技術的には海水から金を採取することも可能だと言われています。でも膨大な海水からほんのちょっとしか取れない。コストを考えたら、誰もそんな馬鹿なことはやらないわけです。つまり、採掘する価値を誰も見出さない資源は「資源量」とは言えるけど「埋蔵量」とは言えないのです。

ベネズエラがサウジアラビアを追い抜いた理由

──『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』では 石油の埋蔵量が増えていることと、その理由が書かれていますね。

岩瀬 私が会社に入った四十数年前、可採年数(現存埋蔵量を生産量で割った数字)は30年と言われていました。ところが、四十数年経った今、なくなるどころか50年強と言われています。生産量も増えているけど、それ以上に埋蔵量が増えている。

 通常、埋蔵量と言えば、「確認埋蔵量」を指します。確認埋蔵量とは、回収できる可能性が90%以上のもののことです。回収できる可能性が50%以上のものを「推定埋蔵量」、10%以上のものを「予想埋蔵量」と言います。つまり、回収できる可能性が低いため確認埋蔵量とは認められないものがたくさんあるのです。

 ところが技術が進んだり、石油の値段が高くなって収益が見込めるようになると、そういったものも回収可能になります。今までは「生産できないだろう」という前提で確認埋蔵量と認定されていなかったのが、確認埋蔵量と認定されるようになるのです。だから「埋蔵量は成長する」と言われています。

──埋蔵量は技術と経済条件によって変わるということですね。

岩瀬 それまで埋蔵量と認められていなかった資源量が、あるときから埋蔵量に認識されるようになるケースもあります。

 例えば「オイルサンド」(粘性の高い鉱物油分を含む砂岩)のケースがそれです。アメリカのSEC(証券取引委員会)は、アメリカで上場している石油開発企業に、保有埋蔵量を財務データの中に入れるよう義務づけています。投資家保護のためです。SECは独自の定義と計算式を持っており、そのルールに基づいて各社の保有埋蔵量を発表しています。

 ところが2000年代前半にスーパーメジャーのエクソンモービルは、SEC規定とは異なった数字をウォールストリートの人たちに発表していました。なぜならエクソンモービルはカナダの子会社が保有するオイルサンドも埋蔵量と認識していたからです。リー・レイモンド会長は「我々の埋蔵量はもっとあるんだ」と胸を張って主張していました。

4
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

JBpress編集長。東京大学文学部卒業。電機メーカー、コンピューターメーカーを経て日経BP社記者に。コンピューター雑誌、美術・デザイン雑誌、ビジネス系ウェブサイトなどの編集や運営、立ち上げに携わる。2008年4月、日本ビジネスプレスの設立に参画しJBpress副編集長に就任。2015年4月より現職。著書に『一億人に伝えたい働き方 無駄と非効率のなかに宝物がある』『小さな神様」をつかまえろ!』がある。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

>>最新記事一覧へ