日本の鮭を増やしたイノベーション、
失敗続きの人工孵化が実現するまで

鮭に見る自然と人工の調和(前篇)

2014.09.12(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
鮭(シロザケ)の成魚(画像提供:牧口祐也助教)

 秋、山の幸は実り、海の幸は富む。

 鮭の旬も秋だ。母なる川を出てから3年ないし4年。海をめぐっていた鮭たちが秋になると故郷の川に帰ってくる。この旬の鮭を人は「秋鮭」と書いて「あきあじ」と読んだ。秋の味が鮭とは、いかに日本人の鮭との関わりが深かったかが読み取れる。

 そうした日本人の鮭との関わり合いにも、長い時代の中では変化がある。自然の中で生きる鮭から恵みをもらうという立場から、人が手を加えることで鮭から恵みをもらうという立場に変わってきたのだ。

 今回は、日本人と鮭の関わり方を長い目で見てみたい。前篇では、どのように日本人が鮭に頼ってきたのか、その歩みを見ていく。鮭を人手で増やすようになった経緯を追っていきたい。

 後篇では、鮭の研究を行っている日本大学生物資源学部助教の牧口祐也氏に話を聞く。牧口氏は、鮭にデータロガーという計測機器を装着させることで、鮭の自然状態を観測し、資源確保などに役立てようとしている。長い時間の中で、今後、日本人と鮭の関係はどうなっていくべきか聞いてみた。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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