「逆オイルショック」が再来?
シェールオイルがもたらすエネルギー情勢の激変

2014.09.12(金) 藤 和彦
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 初代アブドラアジズ国王の建国以来、36人の息子が順番に国王の位置を占めてきたが、支配層であるサウド王家は世代交代の時期に直面しつつある。アラブの春が示したように、イスラム社会の中にも「民主化」を求める若い世代が急増しており、サウジアラビア国内でもテロが発生している。世代交代という敏感な時期に石油価格が暴落して、支配者たちが一般国民を満足させる財源を失ったら、これまでの不満が一気に爆発する可能性も否定できない。

日本に求められる「脱中東石油」の政策

 石油価格の暴落は湾岸地域全体を不安定化させる可能性が高いが、米国が今後も中東地域の政治的安定を図り、シーレーン防衛に積極的に関与し続ける保証はあるのだろうか。

 米国の中東政策は、国内の石油価格に大きな影響を与える中東原油の世界市場への安定的な供給の流れを確保しながら、ワシントンで大きな政治力を有するイスラエル・ロビーの意向に沿うという微妙なバランスを保ってきた。

 しかし、国内の石油消費に占めるサウジアラビア石油のシェアが5%を割り込んだ状況下で、「今後多額の費用をかけてまで中東湾岸地域へ介入する必要はない。介入するとしてもイスラエルの国益を中心に考えるべし」とする安全保障専門家や政治家が増えつつある。

 このような方針転換がなされれば、中東地域の不安定化をもたらすだけで、日本にとっては「百害あって一利なし」である。

 7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使に関する憲法解釈を変更する閣議決定を行ったが、事例の1つとして、ホルムズ海峡が機雷により封鎖された場合の機雷除去作業を挙げた。機雷によるホルムズ海峡封鎖による供給途絶の可能性を認識しているのであれば、「脱中東石油」という日本のエネルギー安全保障の最重要課題への処方箋をただちに策定すべきではないだろうか。

(参考文献)『木材、石炭、シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来』(石井彰著、PHP研究所)

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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