「逆オイルショック」が再来?
シェールオイルがもたらすエネルギー情勢の激変

2014.09.12(金) 藤 和彦
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 価格高騰のあおりを受けて、世界の石油需要はほとんど伸びていない。2007年から2012年までの石油需要の平均増加率は0.6%であり、人口増加などにより急激に需要が伸びている中東産油国を除くと0.3%にとどまっている(2014年第2四半期の石油需要の伸びも1%以下である)。

 石油以外のエネルギー源の同時期の増加率は2.5%増と堅調であり、特に途上国を中心に石炭需要の伸びが目立っている。その理由は石油価格は同じエネルギー量の石炭価格より4~5倍高いからだ。このため、世界の1次エネルギー供給に占める石炭のシェアは2013年に30%に達し、1970年以降で最高水準になった。それに対し、石油のシェアは14年連続で減少し33%にとどまった。

もはや石油の需要は頭打ち?

 10年ほど前、「近い将来、世界の石油生産はピークに達してその後現象に転じる」という、いわゆる「ピークオイル」論が喧伝されたが、石油の埋蔵量に対する評価は大きく変わってきている。

 72年にローマクラブが「成長の限界」を公表した当時、石油メジャーも「世界の埋蔵量は2兆バレルぐらいだが、すでに1兆バレル弱を消費した。石油は遠からず枯渇する」と評価していた。だが、その後の技術革新と持続的な高油価という状況変化を踏まえたIEAが2011年に発表した見解によれば、石油の埋蔵量はこの40年間に一気に4倍に大幅に拡大した(100ドルの価格レベルを前提にすると、世界の埋蔵量は7.7兆バレルと試算している)。

 むしろ昨今は「石油需要のピークが近い」という説が有力になりつつある。

 先進国の石油需要は構造的に減少トレンドに入るとともに、自動車分野での省エネが進んだため途上国の石油需要は爆発的に増加しないことが判明した、というのがその理由である。

 石油は他の代替エネルギーがないコアな需要(輸送部門など)を持っているため、いまだ大幅な需要減にまで至っていない。しかし、石井氏は「近年の石油価格の高騰により、いずれ来るとされていた石油需要のピークが既に来てしまっているのではないか」と推測する。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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