「逆オイルショック」が再来?
シェールオイルがもたらすエネルギー情勢の激変

2014.09.12(金) 藤 和彦
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シェールオイル増産でだぶつく石油

 一方、供給面に目を転じると、米国のシェールオイルの勢いが止まらない。

 シェールオイルを含む米国の石油生産量は、2008年の日量約500万バレルから2014年は800万バレルを超える見通しである。2014年5月、国際エネルギー機関(IEA)は「拡大する米国のシェールオイル生産によって今後5年の世界の石油需要増加分をほとんど賄うことができる」との予想を発表した。OPEC諸国は価格下落のリスクなしに増産する余地はなくなったばかりか、2018年までに生産水準が現在の日量約3000万バレルから200万バレル下回る事態にまで追い込まれつつあるという。

 昨今「西半球で石油がだぶついている」との噂も広まっている。メキシコやベネズエラなどから産出される質が悪いが割安な重質原油をガソリンなどに精製できる施設を有し、価格の高いシェールオイルに手をつけないため、米国内で余ったシェールオイルがカナダに大規模に輸出されるようになっているからだ(米国では原油輸出は原則禁止だが、カナダ向けは例外)。

 高価格による需要停滞とシェールオイルの供給拡大により、国際石油市場が需給緩和に向かう転換点が今年後半にも来るのではないだろうか。

金融情勢も石油価格を押し下げる要因に

 80年代と異なり、石油価格の形成に主導的な役割を果たしているのは、現物市場に比べて格段に大きくなった先物市場である。

 80年代初頭、シェルが「原油生産過剰によりOPEC産油国カルテルは近々崩壊し、今後石油価格は下落する可能性が高い」と警告を発するなど、業界関係者の間で価格下落に対するヘッジ需要が高まっていた。これを受けて83年から84年にかけて、ロンドン国際石油取引所(IPE)に北海ブレント原油の先物市場が、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)にWTI原油の先物市場が作られたが、2000年以降、ゴールドマンサックスがコモディティ・インデックス・ファンドを組成して年金マネーを流入させたために市場規模が飛躍的に拡大した。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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