倫理、つまりモラルとかエチケットを考えるとき(俗語だと思いますが)「対称性の原則」と呼ばれる考え方を適用する場合があります。つまり、自分と相手の立場を対称に入れ替えてみて、自分がされて嫌だと思うことは人にもしてはいけない、というものです。

 私はこれを、大学で「情報処理」を教えさせられたとき「ネットワークエチケット」を教える方法として知りました。あまり学問的な概念とは思いませんが、小学生にも分かるモラルの原則として有効なものだと思います。

 今回はこの「対称性原則」を軸に、「戦後倫理」ということについて考えてみたいと思います。

「アンネの日記と戦後倫理」

 前回も少し触れましたが、5月5日(祝)午後2時から、東京大学本郷キャンパス、工学部2号館92B教室で東日本大震災復興支援哲学会議の「哲学熟議」2回目として「アンネの日記と戦後倫理」のタイトルのもと、公開セッションを開く予定です。

 ポータルサイトができましたのでリンクしておきます。教室定員がありますので、当日は事前予約をされた方優先の入場、という形を取りますが、残席があれば当日いきなりお運びいただいても、入場手続きだけでお入りいただけます。

 連休中のことでもあり、今回は人数は少なくても、密度の高い議論ができれば、と考えています。

 登壇するのはドイツ文学者の高辻知義教授、公共哲学の山脇直司教授、作家の小中陽太郎さん、哲学の丸山文隆君らのメンバーです。

 「アンネの日記」が端的に示す第2次世界大戦中のドイツ政府・独軍によるユダヤ人迫害、ホロコーストなどの犯罪事実と、それらに戦後人々がどのように向き合い、今日に至っているか、から議論の口火を切り、対岸の火事としての欧州ではなく、私たち日本の過去と現在、そして未来への向き合い方を、値引きなしに考えてみたい、そのように考えています。

 善し悪しではなく現実問題として、欧州と日本との間には「戦争認識」そして「戦後認識」に大きな違いが見られます。

 例えばドイツで「ホロコーストはなかった」「アウシュヴィッツは作り話だった」などという内容の発言を公人や公的責任を負う人がすることはあり得ません。