日本人の栄養源でありつづけてきた大豆。今回は、万能性のある食品「豆腐」の歴史と現状を見ている。

 前篇では、豆腐の歴史を追ってきた。遣唐使により日本に製法が持ち込まれたとされる豆腐は、日本国内で高野豆腐や絹ごし豆腐なども生まれた。さまざまな食べ方が日本で発展した。

 後篇では、戦後から現在にかけての豆腐の進化のしかたを見ていきたい。食品の流通形態が変わる中、新タイプの豆腐も誕生し発展した。日本豆腐協会専務理事の町田秀信氏に、“現代の豆腐”について聞いてみた。

戦後、豆腐にも現代化の波が

 豆腐の基本的製法をおさらいしてみる。

 水に浸しておいた大豆を引き潰す。これを「呉」という。呉を煮て漉すと豆乳になる。この豆乳を凝固剤で固めれば豆腐になる。かつて凝固剤には、海水から食塩を晶出させたあとの溶液「にがり」を使っていた。

 長らく食されてきた木綿豆腐の製法では、呉を濾した豆乳を凝固剤である程度固め、それを木綿を敷いた穴開きの木型に流し込み、重しで水を切りながら固めていく。水分は少なく、しっかりした食感の豆腐ができる。

 一方、日本で江戸時代に開発された絹ごし豆腐は、木型に穴を開けず、そっと固める。水分の多い、滑らかで柔らかな食感の豆腐となる。「絹ごし」とつくのは、絹のようなキメの細かい表面になるからだ。