米国のオバマ政権はいま日本をどう見ているのだろうか。特に日米同盟への態度が気がかりである。

 安倍政権への非難に没頭する朝日新聞などの報道を見ていると、いかにもオバマ政権が安倍晋三首相の靖国参拝や歴史認識を理由に日米同盟を軽視し、場合によっては有事の日本防衛の誓約さえ守らないような構図が浮かんでくる。ところが現実はだいぶ異なるようだ。

 オバマ政権の対日関係担当の責任者の1人、ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア太平洋問題担当)の最近の議会証言からは、靖国問題などがあってもオバマ政権がなお日米同盟を揺るがせにしない姿勢や、安倍政権の集団的自衛権の解禁を歓迎する態度が鮮明に伝わってくる。ただしその一方で、中国との対決をあくまで避けたいとする対中融和の傾向も顕著だと言える。

日米同盟の重要性を改めて強調

 ラッセル国務次官補は3月4日の上院外交委員会のアジア太平洋小委員会で証言した。小委員会が開いた「米日同盟、米韓同盟の機会と挑戦」と題する公聴会での証言である。ラッセル次官補の証言は、いまのところのオバマ政権全体の対日政策の集約と見なすことができよう。

 この証言の内容を点検すると、次のような特徴が明確となる。

 第一に明白なのはオバマ政権の日米同盟重視の姿勢である。米韓同盟よりも先に日米同盟を挙げて、米国にとってのその重みを説くのである。

 「米日同盟はアジア・太平洋の平和と繁栄の基礎である」

 「オバマ大統領の政策目標は、米国と日本との強く、成長する絆なくしてはまったく達成できない」