ドイツの再生可能エネルギー法は失敗だったのか?

科学的視点に欠けた脱原発推進がもたらす矛盾が次々表面化

2014.03.12(水) 川口マーン 惠美
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2月26日、ドイツで衝撃的なリポートが発表された。EFI(Expertenkommission Forschung und Innovation=研究・革新専門家委員会)といって、2006年にドイツ政府によって作られた6人の専門家からなる調査グループの提出したリポートだ。

 EFIは、教育、研究、技術開発を中心に詳細な研究をし、毎年1度、結果を政府に報告する。つまり、政府のコンサルタントといった役割を果たしており、その権威と影響はかなり大きい。

再生可能エネルギー法を全面否定したリポート

「脱原発」ドイツ、2012年の温室効果ガス排出量は微増

再生エネルギー法は電気代を高騰させているだけ?(写真はドイツ西部にあるフリンマースドルフ発電所)〔AFPBB News

 さて、そのEFIのリポートによると、「再生可能エネルギー法は、気候変動防止も技術の刷新も促進しない」という。

 再生可能エネルギー法では、自然エネルギー由来の電気は、20年間にわたって全量が固定価格で買い取ってもらえるということが定められている。この法律は、自然エネルギーの先進国を自負するドイツが誇って止まない法律であったのだが、それを、今回のリポートは全面否定したわけだ。

 酷評の理由を見ていく。まずEFIのホームページに載っている同リポートの要約は、「EFIは、再生可能エネルギー法の継続を正当であるとする理由は見つけることができない。再生可能エネルギー法は電気代を高騰させるのみで、気候変動の防止も技術改革も促進しない」となっている。

 読み進んでいくと、さらに辛辣。「ドイツの気候とエネルギー政策の核心的な道具としての再生可能エネルギー法は、失敗に終わった。電力生産における再生可能エネルギーの割合は、2000年に同法が施行されて以来、7%から23%に伸びたが、そのため巨額なコストが掛かった。同法で保証されている助成金の額は、2000年には8億8300万ユーロであったが、2013年は230億ユーロに膨れ上がっている。今では、消費者の支払う電気代の5分の1がこの助成金に充てられている。同法が気候変動の防止に役立つということが根拠とされ、消費者負担の増大が強いられてきたが、実はその実態がないというところが、EFIが同法を批判する最大の理由である」

 EFIによれば、CO2の排出に関してはEUの排出量取引制度があるため(この制度が機能しているかどうかは別問題としても)、再生可能エネルギー法が気候変動防止に役に立っている事実はなく、電気代を高騰させているだけだというわけだ。

 さらに、「同法は技術開発の役にも立っていない。その理由は20年間有効の全量固定価格買取制度で、これがあれば勝手にお金が入ってくるがために、新しい技術を開発しようというモチベーションが働かない」からだという。

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川口マーン 惠美 Emi Kawaguchi-Mahn

 

大阪生まれ。日本大学芸術学部音楽学科卒業。

85年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。シュトゥットガルト在住。

 

90年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓。その鋭い批判精神が高く評価される。『国際結婚ナイショ話』、『ドレスデン逍遥』(ともに草思社)、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)など著書多数。最新刊『サービスできないドイツ人、主張できない日本人』(草思社)好評発売中。ドイツから見た日本、世界をレポートする。

 

2011年4月より、拓殖大学 日本文化研究所 客員教授

欧州

欧州は観光ばかりでなく農業や地方の活性化、また少子高齢化対策などでも日本が学ぶべき点が多い。日本が課題とするこうした点を欧州ではどのように克服しようとしているのかの実例をお送りする。また、欧州で高く評価される日本の芸術・文化などのソフトパワーについてレポートする。

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