ドイツの再生可能エネルギー法は失敗だったのか?

科学的視点に欠けた脱原発推進がもたらす矛盾が次々表面化

2014.03.12(水) 川口マーン 惠美
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 開発は常にリスクを伴うため、今、安易に収益が上がるなら、この技術で十分というのが多くの投資家の考えだ。その結果、同法が施行された後、ドイツのメーカーの技術的競争力は向上していないという。

 結局、気候変動に貢献せず、技術開発力を弱め、さらに、電気代を高騰させるのならば、再生可能エネルギー法の存続には正当性がないというのがこのリポートの趣旨だ。EFIは、去年のリポートですでに、現在の電力生産と研究開発の極めていびつな関係に言及しており、技術の促進のため、早急に対策を打つべきだと警告していた。

「2022年までに脱原発は終わらない」

 ドイツが国際競争力を保つためには、開発と技術力で秀でる以外に方法がないことは、自明の理である。その当たり前のことが、今、ようやく広く語られるようになったわけだが、それには理由がある。1つは、本当にお尻に火が点いた状態になったことと、もう1つはドイツの政権が大連立になったことであろう。

 20年全量固定価格買取制度の見直しを、これまで与党のCDU(ドイツキリスト教民主同盟)が口にしなかったわけではない。火急の問題として認識し、十分に説明し、取り組もうとしていたのであるが、その度に野党からあからさまに叩かれるということの繰り返しだった。

 SPD(ドイツ社会民主党)や緑の党は、CDU攻撃の主力であった。CDUが電力業界や産業界の意向を汲んで、自然エネルギーへの転換にブレーキを掛けたがっているとして、囂囂と非難し続けたのである。

 しかし、去年の12月に大連立が成立し、SPDのガブリエル氏がエネルギー大臣の地位に就いて以来、事態は急速に変わり始めている。今まで、CDUと歩調を合わせることなどなかった彼が突然豹変し、再生可能エネルギー法の見直しに尽力し始めたのだ。

 あたかも自分こそがドイツのエネルギー政策の救世主であるかのような演出で、しかも、自分の党内での反発さえ物ともせずに突っ走っている。つまり、こういう下地があるからこそ、EFIのリポートが主要ニュースで取り上げられ、今、国民の耳にしっかりと届き始めたと言えるだろう。

 大きな声で異議を唱え始めたのはEFIだけではない。

 2月14日付のWirtschaftsWocheのオンライン版によれば、シュレーダー元首相(SPD)が同誌のインタビューで、脱原発が2022年までに終わることはありえないと予測した。氏は、最近出た著書『Klare Worte』の中でも、同じことを述べている。これは直訳すれば、「明確な言葉」となる。

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川口マーン 惠美 Emi Kawaguchi-Mahn

 

大阪生まれ。日本大学芸術学部音楽学科卒業。

85年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。シュトゥットガルト在住。

 

90年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓。その鋭い批判精神が高く評価される。『国際結婚ナイショ話』、『ドレスデン逍遥』(ともに草思社)、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)など著書多数。最新刊『サービスできないドイツ人、主張できない日本人』(草思社)好評発売中。ドイツから見た日本、世界をレポートする。

 

2011年4月より、拓殖大学 日本文化研究所 客員教授

欧州

欧州は観光ばかりでなく農業や地方の活性化、また少子高齢化対策などでも日本が学ぶべき点が多い。日本が課題とするこうした点を欧州ではどのように克服しようとしているのかの実例をお送りする。また、欧州で高く評価される日本の芸術・文化などのソフトパワーについてレポートする。

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