1月22日からスイスで断続的に行われていたシリア国際和平会議(通称「ジュネーブ2」)だが、2月15日、物別れのまま第2ラウンドが終了した。アサド政権側と反体制派側の反目は大きく、第3ラウンド開始の目処は立っていない。

 この和平会議は国連のブラヒミ特使が仲介し、反体制派を支援するアメリカと、アサド政権を支援するロシアが合意したことで開催されたもので、今回、初めて紛争当事者であるアサド政権と反体制派が直接交渉を行なったことで注目されたが、実質的な進展はなかった。

形式的なものに過ぎない和平会議

 もっとも、今回の交渉について、当のシリア国民は、初めからほとんど期待していなかったようだ。ネット経由で、シリアに住む何人かの声を聞いた。

 「スイスで国際会議が始まってから、政府軍による街への無差別砲爆撃がまた激しくなった。いつもと同じパターンさ」(ダマスカス郊外アルビンの非武装反体制派組織「アルビン革命調整委員会」の活動家、ハイサム)

 「国際会議なんて、こちらとはまったく関係ない。アサドはいつもああやって外国の目をそらし、その間に攻勢をかけてくる。アメリカもフランスも、国際会議なんかどうでもいいから、とにかく武器と弾薬をくれと言いたい」(南部ホランの自由シリア軍兵士、アハマド)

 「アサド大統領はこれだけ国民を殺してしまっているし、最初から政権を降りる気がないことはみんな知っている。なんのために会議が開催されたのか理解できない」(ダマスカス郊外から同市内に避難している自動車修理工、オマル)

 今回のジュネーブ2は、停戦と暫定移行政府樹立を骨子とした2012年6月の「ジュネーブ1」(国連主導の関係国会議)合意の実現を模索して開催されたものだが、ジュネーブ1もジュネーブ2も、現地の事情をまったく無視して進められた形式的なものに過ぎず、最初から和平の進展など期待できるものではなかった。

はなから和平など欲していないアサド政権

 そもそも肝心のアサド政権側が交渉による和平など望んでいないことは明らかだ。彼らはこれまで一度も、アサド大統領退陣を受け入れるような発言をしていないし、反体制派と政治的に妥協するような素振りもまったく見せていない。