2. 2種類ある災害宣言

 災害対策のみならず米国の事例を紹介する際に、まず気をつけなければならない点は、米国が連邦国家であるということだ。50ある州は強い権限を持っており、南部など一部の地域においては、連邦政府の介入を嫌う気質も残っている。

2013年は大西洋のハリケーンが例年の2倍近く発生する恐れ、NOAA

昨年米国を襲ったハリケーン「サンディ」〔AFPBB News

 このことは本稿を通して、たびたび思い起こして頂きたい。そのような体制の中、州レベルではなく、連邦政府が国家レベルで災害に対処すべく定められたのが、1988年のスタフォード法と呼ばれる法律だ。

 これに基づき、いかに連邦政府が各州に介入していくべきかが定義されている。ただ、この法律は、連邦と州の関係性について主として定義しており、今回の事例紹介には適さないので割愛したい。

 では、連邦政府レベルで対応が必要な大災害が起こった時、実際には何がまず行われるのだろうか。第1のステップは、大統領による大規模災害宣言(Major Disaster Declaration)、もしくは緊急事態宣言(Emergency Declaration)の発令だ。

 この2つ、何が違うかというと、大規模災害宣言の方は、長期的な復興にも連邦政府が関与する準備があるという特徴を持ち、さらには、対象をあまり限定せず、被災者、被災を受けたビジネスセクター、公共セクターの救済に関して全般的な連邦政府の補助を想定している。

 一方で、緊急事態宣言の方は、より具体的で限られた焦点を持ち、短期的な連邦政府の補助を想定している。なお宣言数は圧倒的に大規模災害宣言の方が多く、2010年から2012年にかけて、その数は、それぞれ81、99、47と推移し、2013年は9月の段階で47となっている。

 一方で、緊急事態宣言の数は、毎年ほぼ10から15程度で推移している。日本でも話題になった近年の米国のハリケーン被害などに対する宣言は、前者の大規模災害宣言に当たる。

3. 3種類ある災害対策のイニシアティブ

 さて、この宣言に基づき、連邦政府なり担当当局は被災地の救済に乗り出すわけだが、彼らはどのような対策や組織体制を持ち、その任に当たるのだろうか。

 テキサス・ダラス市で災害・救急医療の質管理責任者を務める、テキサス大学準教授のリチャード・キング氏は、米国の災害対策イニシアティブの中身は3つに分けられるとする。

 それぞれ、大きい順に(1)立法や大統領指令(Presidential Directives)レベルのイニシアティブ、(2)省庁や担当当局レベルのイニシアティブ、(3)それらに基づくシステム構築やガイダンス作りといったイニシアティブの3つである。

 この3段階のイニシアティブに留意しながら、まずは、9.11後、米国の安全保障の新たな動きとして日本でも話題になった、2002年の国土安全保障法(Homeland Security Act)について見てみよう。