消費税率が2014年4月から8%に引き上げられることが決まった。消費税引き上げは1997年に3%から5%に引き上げられて以来となる。
増税されれば、家計にも重い負担がのしかかる。スーパーマーケットなどの小売は消費者の「買い控え」を恐れている。消費税率をめぐる議論を振り返り、今後、消費税率が上がった場合、小売にどのような影響が出てくるのかを探ってみたい。
懸念される景気悪化の対策に5兆円
安倍晋三首相は10月1日、消費税率を5%から8%に引き上げることを表明した。「有効求人倍率などの経済指標が改善しており、経済再生と財政健全化が両立できる」というのがその理由だ。
政府はこれまで、有識者による「集中点検会合」で消費税率が引き上げられた場合の影響を検証してきた。参加した有識者60人のうち、7割超の44人が予定通りの消費税引き上げに賛成だった。
しかし、懸念されるのが増税に伴う景気の落ち込みだ。そのため、5兆円規模の経済対策を実施するという。
メインとなるのは企業の減税だ。これまで企業に上乗せしていた「復興特別法人税」を1年前倒しで廃止する予定だ。賃上げや設備投資をした企業への減税などで国・地方合わせて1兆円の規模になるという。また、消費税の増税の影響が大きい低所得者層へは、1万円程度の給付金や住宅ローン減税なども盛り込む予定だ。経済対策の詳細は2013年12月上旬に発表するという。
しかし、増税と経済対策という一見矛盾するかのような政策には賛否両論ある。せっかく上向いてきた景気が増税で減速するのではないかという懸念や、家計への配慮に乏しいという不満の声もある。
消費税の使途は年金や医療・介護の社会保障や、少子化対策に限定される。税率は下表の通り2014年4月から8%に、2015年10月から10%と2段階で引き上けられる見通しだ。10%への引き上げについては「その時の経済状況を踏まえて決定する」という。