ソウル市内にあるウリィ銀行本店

 韓国政府は2013年6月28日、最大手銀行のウリィ銀行を傘下に置くウリィ金融グループの民営化計画を発表した。

 「IMF危機」と呼ばれた1997年の通貨・経済危機を機に巨額の公的資金を投入して都市銀行や地方銀行、さらに証券会社までまとめて設立されたウリィ金融グループを事業ごとに売却する。

 ウリィ金融グループの民営化は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の重要経済政策の1つだ。李明博(イ・ミョンバク)政権時代に3度失敗しており、「今度こそ必ず実現させる」と意気込むが、課題も垣間見える。

 ウリィ金融グループは、事実上経営破綻した都市銀行のハンビット銀行や平和銀行などを合併させ、13兆ウォン(1円=11ウォン)近くの公的資金を投入して2001年に設立された。

 傘下には、地方銀行や証券、保険会社などを抱える。2012年末時点での資産規模は325兆7000億ウォンで、韓国では新韓金融グループ、KB(国民銀行)金融グループ、外換銀行を買収したハナ金融グループなどを上回る最大手だ。

巨大すぎて買い手が現れなかった金融グループ

 政府はこれまで徐々に保有株を売却して現在の政府出資比率は57%になっている。この間、6兆ウォン近くの公的資金を回収している。

 朴槿恵大統領は、2012年の大統領選挙の時から、ウリィ金融グループの民営化方針を打ち出していた。

 公的資金を投入して緊急支援した金融機関だから、できるだけ早く資金を回収して民営化するのは当然と言えば当然だ。2008年に発足した李明博政権も、ウリィ金融グループ民営化を掲げていた。

 実際、李明博政権の5年間で、3度にわたって政府保有株を売却しようと試みた。ところが、なにせ、当時は時価総額が10兆ウォンを超える巨大金融グループだった。名乗りを上げる金融機関やコンソーシアムなどがなかなか現れず、3度とも失敗していた。

 この間、李明博政権では、国策銀行の韓国産業銀行(KDB)に買収させる「メガバンク構想」も浮上したが、結局実現しなかった。