サムスングループの経営を革新する契機となった李健熙(イ・ゴンヒ)会長の「新経営宣言」(新経営については2012年12月3日付「サムスングループ李健熙会長、就任から25年」参照)から2013年でちょうど20年になる。6月20日には韓国経営学会主催の国際学術シンポジウムが開かれた。行ってみて、その規模にまず圧倒された。

新経営20周年記念国際学術大会には、ざっと1000人の参加者が訪れた

 ソウルの最高気温が30度を超えた6月20日。ソウル南部の学術会議などがよく開かれるホテルで韓国経営学会主催の「サムスン新経営20周年記念国際学術会議」が開かれた。

 前もって「出席者が多いので早めに到着するようお願いします」というメールを受け取っていたので、最寄の地下鉄良才駅で降り、ホテルまでのシャトルバスに乗ろうとした。そこで驚いた。すでに100人以上が待っていたのだ。

 30分以上前に会場に着くと、受付は大混雑だ。担当者に聞くと「事前に参加登録をしていただいた方以外の入場はお断りしています。すでに600人は入場して、会場が足りなくて別の部屋も準備しました」とのこと。最終的には「1000人あまりがつめかけ盛況だった」(韓国経済新聞)という。

 学術団体のシンポジウムに1000人! 一体どんな人が来ていたのか。学会のメンバーである全国の大学の先生、サムスングループの関係者もいたが、圧倒的に多かったのは、それ以外の人たちだった。

参加者は学生から経営者まで様々、居眠りもせず熱心に聴講

 何人かに聞いてみたが、「大学院生で経営学を専攻している」「○○会社の企画部に勤務しており、『新経営』に関心があった」「学生でサムスンに入社を希望している」「会社を経営している。サムスンとの取引はないが『新経営』には関心がある」--などなど様々だ。

 シンポジウムは、もちろん経営学会のメンバー向けだが、今回はサムスン経済研究所が「後援」し、同社のサイトでも参加を受け付けた。このため、普段からサムスン経営研究所のリポートなどを読んでいるビジネスマンなどが「サムスンの強さの秘密」を知ろうと大量に申し込んだようだ。

 シンポジウムは、午前10時から午後6時過ぎまで。ソウル大、延世大など韓国でも有名な経営学の教授や、海外の研究者が、サムスン新経営について総括する内容だ。午後のセッションには、コメンテーターとして、サムスン電子の副社長などが登場した。

 驚いたのは、ぎっしりと詰まった会場で居眠りをしている姿がほとんどなかったこと。途中、昼食時に弁当が配布されたが、午後6時まで8時間にわたったシンポジウムで途中で退席する人もほとんどいなかったことにはもっと驚かされた。内容は決して易しいとは言えない。この類のシンポジウムと言えば、午後にはがらがらになるのが普通だけに、「異常な」熱気だった。