水道水はどうすればおいしく飲めるのか

ミネラルウォーターと水道水の真実(後篇)

2013.02.22(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 毎日の暮らしに欠かせない「飲料水」をテーマに、おいしさ、健康への影響、安全性などに視点を当てている。

 前篇では、コンビニエンスストアなどで売られている「ミネラルウォーター類」の実情について、聖徳大学人間栄養学部人間栄養学科の佐々木弘子教授に聞いた。「ナチュラルウォーター」や「ナチュラルミネラルウォーター」のような「ナチュラル」のつく製品でも国産のものは殺菌処理が施されていることや、海洋深層水には高血圧を引き起こすナトリウムの含有量が平均でナチュラルミネラルウォーターの3倍ほど高いことなどが示された。

 後篇では、より身近な蛇口から出てくる「水道水」に注目したい。

 確かに、日本は水道水をそのまま飲むことのできる希有な国ということを考えれば、水道水の水質は相当に高い水準にあると言えそうだ。では、ミネラルウォーター類に比べたとき、おいしさや安全性はどうなのだろう。

 千葉県が水道水の質的向上を目指す一環として開いている「おいしい水づくり推進懇話会」の座長もつとめている佐々木教授に、水道水の実状や、飲料水との接し方について聞いた。

都市圏などで進む「高度浄水処理」

──前篇では、1980年代後半に「水道水はおいしくない」という調査研究の結果が出たことが、人びとが水道水を飲むことから離れていく契機の1つだったと聞きました。“おいしくない水道水”の原因は何ですか?

佐々木教授(以下、敬称略) 第1の原因は塩素が水の中に残ることです。塩素は消毒効果が大きく、大量の水に対して消毒しやすいのです。安全性のためには必要となります。蛇口のところで、水道水中の塩素を1リットルあたり0.1ミリグラム以上確保しなければならないということが、「水道法」という法律で定められているのです。

 水道水をなるべくおいしく飲むためには、「蛇口で1リットルあたり0.1ミリグラム」の法定基準ぎりぎりまで塩素を薄めたいわけです。

──例えば、どのような方法が使われているのでしょうか?

佐々木 「多点注入方式」という方法を取っている自治体があります。これまでは、塩素を、浄水場やその先の給水場で一括に注入する方法を取っていました。これを、複数の地点で塩素をきめ細かく注入する方法にして、特に浄水場・給水場の回りなどで塩素が濃くならないようにしているのです。

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漆原 次郎 Jiro Urushibara

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の安全に対して国民の関心が高まっている。国民が健康を意識しているのはもちろんだが、今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。このコラムでは、日本や世界における食の安全への取り組みを様々な角度から取り上げていく。