「潔癖」な国、日本のミネラルウォーター事情

ミネラルウォーターと水道水の真実(前篇)

2013.02.15(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 “改めて”の話をするが、人の体の6割は水でできている。人間は“動きまわる水のかたまり”と言ってもよいくらいなのだ。

 その水を私たちはどう得ているかというと、飲んだり食べたりを通じて、ということになる。なかでも水道水やミネラルウォーターなどの「飲料水」は、そのまま飲む、氷として使う、コーヒーなどの嗜好品に使う、料理に使うなど様々な形で体に摂り込まれている。

 成人が1日に摂り込む水分量はおよそ2リットル。毎日これくらいの量を欠かさず飲んでいることを考えると、いま飲んでいる水への関心を持つことは無駄にならないだろう。

 そこで、今回は「飲料水」をテーマに取り上げることにしたい。日本で私たちが使っている飲料水は、大きくボトルに入った市販の「ミネラルウォーター」と、蛇口をひねれば出てくる「水道水」に分けることができる。「おいしさの決め手はなんなのか」「安全性は大丈夫なのか」「どちらがどう優れているのか」といった疑問は尽きない。

 これらの疑問を、聖徳大学人文学部人間栄養学科の佐々木弘子教授に投げかけてみた。佐々木教授は、これまで日本市場にあまた出回るミネラルウォーター類の性状を調査した経歴を持つ。また現在は、千葉県が水道水の質的向上を目指す一環として開いている「おいしい水づくり推進懇話会」の座長も務めている。

 前篇では主にミネラルウォーター類について、後篇では水道水について、それぞれの実状を佐々木教授に聞くことにしたい。

「水道水はおいしくない」を機に普及

──コンビニエンスストアや自動販売機などでは、ボトルに入ったミネラルウォーター類が当然のように売られています。これらには分類があるのですか?

佐々木教授(以下、敬称略) はい。ミネラルウォーター類は、大きく4種類に分けられます。

 「ナチュラルウォーター」は、特定の水源から採取した地下水のことです。「ナチュラルミネラルウォーター」は、ナチュラルウォーターのうちミネラルを含む地下水。「ミネラルウォーター」は、これらの水に、ミネラル分調整やブレンドなどを施したもの。そして「ボトルドウォーター」は、これら以外のミネラルウォーター類ということになります。

 これらの分類は、国の「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」が定めるものです。最も多く出回っている種類はナチュラルミネラルウォーターとなります。また、この4種類は広く「清涼飲料水」に含まれます。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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