水道水はどうすればおいしく飲めるのか

ミネラルウォーターと水道水の真実(後篇)

2013.02.22(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

──私たちに水が届く末端の蛇口に、市販の浄水器を取り付けて水をきれいにしようとする家庭もあります。これはどうなのでしょう?

佐々木 一般的な話ですが、適切に使っていれば効果はあると思います。効果とは、特有のカルキ臭がしなくなるとか、塩素の量を抑えられるといったものです。

 浄水器には高いものから安いものまでありますが、大切なのは「フィルタを3カ月ごとに交換してください」といった説明書きを守ることです。もったいないからといって放っておくと、かえって汚れた水を使うことになってしまいます。

──水道水は、まったく人体に悪い影響がないと言えるのでしょうか?

佐々木 「懇話会」で課題となっている物質に、「トリクロラミン」があります。発がん性もあると言われており、カルキ臭の主な原因として考えられてきました。

佐々木弘子さん。聖徳大学人間栄養学部人間栄養学科教授。栄養学博士。管理栄養士。女子栄養大学栄養学部講師を経て、2001年より聖徳大学教授に。飲料水の分析の他、食品中の機能性成分の分析などの研究や、管理栄養士の養成も行う。2007年から千葉県が実施している「おいしい水づくり推進懇話会」の座長も務めている。手前に写るのは千葉県の水道水で作られた“缶入り水道水”(非売品)。

 しかし、千葉県水道局がトリクロラミンの濃度とカルキ臭の関係を調査したところでは、「トリクロラミンを検出し、カルキ臭を感じた」というほかに「トリクロラミンを検出したにもかかわらず、カルキ臭を感じない」「トリクロラミンを検出しないにもかかわらず、カルキ臭を感じた」という異なる傾向も見られました。

 この物質は、アンモニア系の物質を由来に発生しており、高度浄水処理が発生の抑制に寄与すると言われています。しかし、アンモニアの他に有機物質由来のトリクロラミンも発生していることが分かってきました。

 微量しか含まれておらず量の計測が難しい部分があります。それに不明な点もあるため、千葉県の場合「おいしい水」に関する水質目標の中で、トリクロラミンについては「目標値を設定すること」自体を目標としているのが現状です。

──微量にしか含まれていない物質を、気に懸ける必要はあるのでしょうか?

佐々木 水は毎日使うものであり、直接体内に入ります。人体に有害である物質であれば、対処しておいた方がよいと言えます。

冷やして飲めばおいしく飲める

──前篇でミネラルウォーター、後篇で水道水について聞いてきました。2つの飲料水を比較した場合、まず安全性についてはどうでしょうか?

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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