水道水はどうすればおいしく飲めるのか

ミネラルウォーターと水道水の真実(後篇)

2013.02.22(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

佐々木 ミネラルウォーター類は、国産の製品については殺菌処理を施しているので、その点で安全を担保していると言えます。

 では、安全性を守るための規格はどうかと言えば、水道水には水道法による厳格な規格があるのに対して、ミネラルウォーター類にはガイドラインがあるものの、さほど厳しい規格はありません。どちらかと言えばの話ですが、より安全を考えた規格のもとにあるのは水道水ということにはなります。

──なぜ、水道水の規格の方が厳格なのでしょうか?

佐々木 水道水は、地下の水を汲むミネラルウォーター類と違って、地表の水を使います。地表の水の方が汚れた水が集まりやすいため、より水道水の方が厳しい規格を設け、浄水処理も行っているのです。

──おいしさについてもお聞きします。「缶入り水道水」(写真参照)を飲んでみましたが、ミネラルウォーターとの味の違いを感じられませんでした。水道水の方がミネラルウォーター類よりもおいしさで劣るというのは、気のせいなのでしょうか?

佐々木 気のせいと言える部分もあれば、気のせいではない部分もあると思います。気のせいではない部分というのは、主に水道水の取り扱い方によるものです。水道水は、貯水槽や蛇口などの状態によって、味も違ってきます。

──水をおいしく飲むための工夫はありますか?

佐々木 冷やして飲むことです。冷やしても水道水に含まれる塩素などの量が減るわけではありませんが、官能的にはおいしく感じられます。摂氏8度くらいの水温がおいしさの適温であると言われています。

──私たちは飲料水とどう接していくのがよいと思いますか?

佐々木 水道水とミネラルウォーター類を上手に使い分ければよいのだと思います。

 水道水の性状は、その地区の中で1種類です。日本の水道水は、全国どこでもだいたい硬度100程度の「軟水」か「中程度の硬水」です。

 一方、ミネラルウォーター類には軟水から硬水まで様々な性状のものがあります。肉を煮たりコーヒーを入れたりするときは硬水を使うとよいと言われていますし、鰹の出汁とりや米炊きには軟水を使うとよいと言われています。

 ミネラルウォーター類は値段も張ります。軟水に合ったご飯炊きには水道水を使うなどして、すべてにミネラルウォーター類を使うような無駄づかいに思えることはしないでもよいのではないでしょうか。かといって、ミネラルウォーター類にも、料理で上手に活用する楽しみ方や、持ち歩ける利便性があります。そうしたことに投資してもよいと思える人は、そうすればよいのだと思います。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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