韓国の大統領選挙(2012年12月19日)まであと1週間。与野党候補の一騎打ちは、最終盤まで大混戦の様相を見せている。韓国で急速に進む少子高齢化と人口動態の激変が、選挙戦に微妙な影響を与えている。
選挙戦の行方は混沌としている。与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)候補が優勢で、これを野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補が追うという展開が続いていた。
11月末に出馬を辞退したが、若者を中心に高い人気を維持している安哲秀(アン・チョルス)氏が12月6日に、文在寅候補の支援を表明したことで情勢はますます混沌としてきた。
2012年の大統領選挙を前に、世論調査や選挙の専門家たちが一致して注目していることがある。人口動態の急速な変化だ。
韓国の「圧縮成長」で世代間に大きな意識差
韓国の現代史の特徴をひとことで表すと「圧縮成長」だ。
他の国が50年、100年がかりで達成した近代化や産業化、さらに政治の民主化を、韓国はわずか30年や40年で走り抜けた。
だから、世代によって持っている時代感や理念がかなり異なる。50代以上の層は、貧しかった頃の韓国の記憶を鮮明に持っている。必死に働き、その結果としてどんどん豊かになったことも実感した世代だ。
同時に、相対的に「強国」だった北朝鮮と対峙した緊張感や恐怖感も根強い。
40代は、ある程度豊かになって育った世代だ。「食べる」ことへの不安がなくなった最初の世代だ。
1970年代や1980年代に高校や大学に通った世代だけに、強権政治の暗い経験を持つ。自分たちが先頭に立って強権的な政権に反対、抵抗して「民主化」を実現させたという自負がある。
もっと下の20代はどうか。政治理念に対する関心はぐっと低くなる。1997年の「IMF危機」という通貨・経済危機を機に韓国社会が「超競争社会」「超格差社会」に入ったあとに教育を受けた世代だ。