マーケティング領域にとって2013年はどのような年になるのだろうか。今年もさまざまな環境変化があり、その変化はマーケッターにはチャンスとなるだろう。新しい挑戦ができること、それはチャンスだからである。
2013年、メディア間の境界破壊が始まる
年末年始にタブレット端末を新たに手にした読者も多いのではないだろうか。ところで、このタブレットとは何をもたらすものか。PC並みのスクリーン、モバイル並みの運びやすさ。そして本も、音楽も、映像も楽しめる。
タブレットの出荷台数は、これら幅広いユーザーの支持を受けて急増している。「まもなくタブレットの出荷台数がノートPCを上回る まずは北米で今年10~12月期にも、米社の予測」という2012年11月27日の記事が示すように、タブレットはノートPCの出荷台数を超える勢いである。
タブレット上のサービス提供者も、アプリや新たなサービスの競争を行っている。例えば、アマゾンがクラウドプレイヤーを提供したのは記憶に新しい。書籍販売大手のアマゾンが、満を持して音楽や映像サービスに本格参入したように思える(参照:「さっそく物議醸すアマゾンの新サービス 音楽をネットに保存する『クラウドドライブ』とは?」)。
新たなデバイスの従来にない使われ方は、当然メディアにも影響する。タブレットで本も、音声も、映像も楽しめるということは、すなわち1つのスクリーンでテキスト、音声、映像を組み合わせて再生できるということであり、今までの紙媒体、ラジオ媒体、テレビ媒体といった境界を感じさせない。
これまでもPC用のWebサイトでテキスト、音声、動画の配信はできていたが、新聞・雑誌メディアの電子化(スマートフォン、タブレット対応)により、紙媒体、ラジオ媒体、テレビ媒体の境界の破壊は加速すると思われる。
媒体ではなく、コンテンツから考える
さて、皆さんは青春時代に音楽をどの媒体で聴いていただろうか。私はFMラジオでサウンドチェックし、ラジカセで気に入った曲を録音して繰り返し聴き、気に入ったらアナログレコードを買いに行った。大学に入るとCDデッキを購入し、CDを買い、CDをテープにコピーし、ポータブル・ミュージック・プレーヤーに入れて大学の行き帰りに聴いていた。
10年ほど前にはMP3プレーヤーを買い、パソコンでCD音声をMP3に変換して会社の行き帰りに聴いていた。それが今では、スマートフォンのアプリ「TuneIn Radio」でネットワークを経由して、インターネット放送局から流れる音楽を会社の行き帰りに聴いている。
最初にラジカセを買ってもらったのは小学6年のクリスマスだから、約30年間で音楽というコンテンツの媒体は、テープやアナログレコードからCD、MP3データ、ストリーミングされる音声データへと変わってきている。しかし音楽そのものは聴き続けているし、今後も聴き続けるだろう。
そして音楽産業はこの媒体の変遷を乗り切り、今も産業として生き続けている。