米アマゾン・ドット・コムが、インターネット上に音楽ファイルを保存しておけるサービスを発表して話題になっている。同社のデジタル音楽販売サービスで購入した楽曲ファイルをネット上に保存しておき、ユーザーはパソコンのウェブブラウザーやスマートフォンのアプリを使って再生できるというものだ。

 デジタル音楽のネット販売で先行しているのは米アップルだが、アマゾンの場合は楽曲ファイルをユーザーの端末にダウンロードする必要がないという点でアップルとは異なる。

ウィキリークス支持のハッカー集団、アマゾン攻撃に失敗

アマゾン・ドット・コムの新サービスは発表早々に物議を醸している〔AFPBB News

 またアマゾンで購入した音楽ファイルのほか、ユーザーが音楽CDから変換したファイルや、写真、動画、文書などのファイルも保存しておけるオンラインストレージとしてのサービスも兼ねており、将来のデジタルメディアの姿を予見させると言われている。

 このアマゾンの発表を受けて、米ウォールストリート・ジャーナルは次のように伝えている。

 「デジタル音楽や動画などのメディアコンテンツの販売や再生環境を巡っては競争が激化している。ここ何年もの間、アップルのアイチューンズ(iTunes)が市場を独占してきたが、そのビジネスモデルはダウンロード販売だった」

 「しかしモバイル端末が普及したことで、ユーザーには不安が出てきた。端末が故障したり、紛失したりすると、大切な写真や音楽ファイルに二度とアクセスできなくなる。こうしたユーザーの懸念を背景に、どの端末からでもアクセスできるネットサービスが求められるようになる」

購入コンテンツをネット上の1カ所に集約

 アマゾンが今回発表したのは、(1)オンラインストレージサービスの「クラウドドライブ(Cloud Drive)」、(2)ウェブブラウザー上で楽曲を再生する「クラウドプレイヤーフォーウェブ(Cloud Player for Web)」、(3)米グーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」搭載端末で楽曲の再生が行えるアプリ「クラウドプレイヤーフォーアンドロイド(Cloud Player for Android)」。

 アマゾンの音楽販売サービスで楽曲を購入すると、そのファイルは(1)のオンラインストレージに保存できる。こうして購入したり、自分でアップロードしたりした楽曲は、(2)のウェブアプリケーションや(3)のアンドロイド用アプリで聴くことができる。現在のところ権利関係の問題があるようで、残念ながら日本からでは音楽再生ができないが、ファイルのアップロードは可能となっている。