前回の当コラムでは中国の新たなステルス戦闘機の実験飛行について報告した。

 今回は中国の新鋭無人機のリポートである。正確には中国の軍用無人機の開発の野心的なスピードに対する米国の専門家たちの考察についてだ。米国の深刻な懸念と言ってもよい。

 中国の無人機については10月のこのコラムでも尖閣諸島に飛来する無人ヘリコプターなどについて伝えたが、今回の報告は、中国の無人機の開発や配備の規模がこれまでの想像以上であり、この分野では先行する米国にとっての正面からの挑戦と受け取れるという新たな現実の紹介である。

 無人機とは文字通り人間が乗らないまま、地上からの操縦と宇宙衛星の利用などでの通信連絡を保ちながら、偵察や攻撃に使われる。国際テロ組織のアルカイダへの抑止などには最適な手段ともされる。

 米国空軍ではCIAなどと連携して近年、無人機の比率を着実に増やしてきた。2012年初めには米国防副長官が「今年は初めて、米軍全体で無人機操縦パイロットの数が有人機のパイロットの数を上回った」と漏らすのを聞く経験があった。要するに、米軍全体の中でも作戦がらみの活動でいま最も必要性が求められる存在がこの無人機なのである。

イランに捕獲された米国の無人偵察機

 先月11月中旬に中国の広東省珠海市で開かれた「2012年 中国航空ショー」では「翼龍」(英語名「テロサウル」)という新型の無人機が欧米関係者たちの注視を集めた。この無人機は米国が開発し、すでに配備している無人偵察機「RQ-170センチネル」に酷似していることが特に米側関係者を緊張させた。

 無人機の技術では世界の先頭を走る米国が、2011年12月、イラン東部の上空を偵察のためにセンチネルを飛ばしていた。そのセンチネルがイラン空軍の攻撃を受けて、捕獲された。