中国が新たなステルス戦闘機の実験飛行を発表した。米国ではこの動きを中国の空軍の本格的強化、そして米軍への正面からの挑戦として真剣に受け止めているという。米中軍事対決の構図がまた一段と形をはっきりとさせてきた兆しだとも言えよう。

 中国の官営メディアは「新型ステルス戦闘機『J(殲)-31』の初テスト飛行が成功した」という報道を、10月末から数日にわたり多様なチャンネルで流した。テスト飛行自体は10月31日に実施されたという。そのJ-31のモデルはテスト飛行のすぐ後の11月中旬に広東省の珠海で開かれた「2012年中国航空ショー」に展示された。

米国の設計図を盗んで開発?

 ステルス(本来は「秘密の」という意味)とはレーダーによる捕捉が難しい「見えない」航空機能のことである。つまり、ステルス戦闘機とは「見えない戦闘機」ということだ。

 中国はステルス戦闘機の実験を、すでに2011年1月5日に初めて実行している。その日はちょうど米国のロバート・ゲーツ国防長官(当時)が中国を訪問していた。ゲーツ長官の滞在にタイミングを合わせたように、中国軍が四川省成都の航空基地でステルス戦闘機「J(殲)-20」のテスト飛行を挙行したことが発表された。もちろん米側を驚かせる意図だろう。

 今回、初のテスト飛行が発表されたJ-31は、このJ-20よりは小型かつ軽量の戦闘機で、当初は地上発着だが、やがては航空母艦からの発進用にも配備されるようだと伝えられている。

 わずか2年足らずのうちに中国軍が2種類のステルス戦闘機の開発を公表したことは、中国がこの分野でも米国と張り合う軍事超大国への道を目指す意図の宣言を意味している。この2種類とも中国では第5世代戦闘機とされる最新鋭の機種である。

 米国はこれまで空軍力では中国に対し圧倒的な優位に立ってきた。まったく足元にも寄せつけないほど先を走ってきた米国に、いまや中国が国力を総投入して追いつこうとする構えを見せたのだ。