10月29日、日本弁護士連合会は「患者の権利に関する法律」大綱案を公表し、厚生労働大臣に提出しました。

 「不十分な医療体制により患者の権利が保障されていない現状(注:あくまで日弁連の主張です)を踏まえて、権利を擁護する視点に立って医療政策が実施されるべきである」と訴えるこの法律案には、以下のようなものが盛り込まれています。

(1)全ての人は最高水準の健康を享受する権利がある。

(2)全ての人は疾病や障害を理由に差別されない権利がある。

(3)全ての人は最善の医療を受ける権利がある。

(4)全ての人は安全な医療を受ける権利がある。

(5)全ての人は社会的地位や経済的負担能力による差別なしに最善かつ安全な医療を受ける権利を有する。

(6)全ての人は医療行為に同意・選択・拒否する権利がある。

(7)全ての人は常にプライバシーを尊重される権利を有する。

(8)全ての人は医療に参加する権利を有する。

 まだまだ続くのですが(全部で34項目あります)、これらの権利を法制化することを求めています。

 この権利を保障する義務を負うのは「国家(日本国)」です。ですから、私を含めた医療従事者が弁護士の先生たちの崇高な目標に異議を唱えるのは筋違いなのかもしれません。

 しかし、これは医療機関にとっては「権利の化け物」としか思えない画餅の大綱案であり、それだけではなく現状以上に医療従事者を過酷な状況に追い込むこと必至の提案なのです。

医療機関が従う「療養担当規則」とは?

 現在、日本の医療機関は厚生労働省が定める「療養担当規則」に基づいて医療行為を行っています。