東京大学が「9月入学への移行」を急ピッチで進めようとしている。その目的の1つが、グローバル化なのだそうだ。
グローバル化は、日本の企業が盛んに進めてきたことである。当初は海外への展開を指す言葉として用いられたが、次には会社の仕組みそのものを、日本的から脱してグローバルスタンダードにもっていこうとして多用されるようになった。
ただし、日本企業のほとんどがグローバルスタンダード化、つまりアメリカナイズされたかといえば、そんなことはない。社内会議の公用語を英語にしたところもチラホラあるようだが、それが主流になっている状況ではない。
「外資系になっても英語の勉強は必要なかった」
かつて日本の3大証券会社の一角を占めていた日興證券は、シティグループとの資本提携などを経て、2001年に日興コーディアルグループとなった。さらに2006年12月、粉飾決算が明るみに出て危機となり、シティグループが日興コーディアルグループの全発行株式を所有して完全子会社化してしまう。日本の大手証券会社が外資系になってしまったわけだ。
その後、三井住友フィナンシャルグループの子会社である三井住友銀行が日興コーディアル証券を買収し、再び日系に戻る。それが、現在のSMBC日興證券である。
日本企業が組織としてのグローバル化を目指すのは、その方が効率のいい経営形態になると考えるからである。その方が利益も増える、と考えるからだ。
それが本当ならば、外資系となった日興コーディアルはアメリカナイズされてもよかったはずである。社内用語は英語となり、支店にも外国人の姿ばかりが目立つ、という会社になってもよかったはずだ。
しかし、そうはならなかった。国際部門などは、確かにアメリカナイズが急速に進むには進んだ。ただしドメスティック、つまり国内営業部門に関しては何の変化もなかった。アメリカナイズは、少なくとも表面的にはまったくなかった。