「会議」にどのような印象をお持ちだろうか。
人が集まって課題にどう取り組むかを決めていく。会議の役目そのものは大切だ。しかし、実際に会議を行うとなると、結論はさておいてのムダな雑談になったりで、ボスの顔色うかがいになったり、とかくネガティブな印象が付きまとう方も多いかもしれない。
なぜこうも会議は嫌われるのか。そのテーマはまた改めてじっくりと考えたい。この記事でテーマにしたいのは、「生産的な会議をいかに行うか」という現実的な問題だ。
「うちの組織の会議をどうにかしたい」。そんな問題意識を持っておられる方々に伝えたい会議がある。それは、あの日産自動車の社員たちが日々行っている会議だ。
意思決定者は会議室から出ていった
カルロス・ゴーン氏が1990年代の終わりにやって来てからというもの、日産は様々な組織改革を行ってきた。工場閉鎖や販売店統廃合といった“大なた”を振るった印象が今も強いかもしれない。一方で、課題解決のための会議にも新たな手法を取り入れ行ってきたということはあまり知られていない。
日産が行った改革として、議論を組織横断的に進める「クロスファンクショナルチーム」の存在をご存じの方は多いだろう。だが、もう1つ、日産の社員たちは「V-up」という会議手法を開発して、これまで大小の課題を解決してきたのだ。
私は縁あって、これまで日産への取材を重ねてきた。そんな経緯からこのたび「V-upを世に知らしめたい」という話を日産から受け、取材することになった。
日産の社員たちがどのように会議で課題解決を図っているのか。会議手法を開発した社員に方法論を聞いたり、会議を駆使した社員に体験談を聞いたり、実際の会議に立ち会ったりした(その取材内容を『日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ』(東洋経済新報社刊)という本にまとめた)。
筆者が取材した中で、特に印象に残っていることをここで取り上げてみたい。