東京・丸の内のゴールデンウイークの新風物詩となったクラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」をご存じだろうか。

100万人を集めるクラシック音楽のイベント

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(東京)。撮影:久保靖夫

 これは、門外漢には高尚でとっつきにくそうなクラシック音楽を、演奏のクオリティーはそのままに料金や雰囲気も含めて大衆化し(チケット代は1500円から4000円程度、0歳からも聴けるコンサートや無料公演などもあり、1つのコンサートは45分ぐらいと短い)、そして朝から晩まで様々なコンサートを聴き比べることのできる、クラシック音楽の常識を破ったユニークな音楽祭だ。

 以前なら「ゴールデンウイークの丸の内」は閑散としたオフィス街だったが、現在は会場の東京国際フォーラムを中心に、家族連れをはじめとした人々でにぎわう。また大手町、丸の内、有楽町地区(大丸有地区)の街角で関連イベントや催しが行われ、街全体が活気に包まれる。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(東京)。撮影:久保靖夫

 その人気は数字にも表れている。開催4年目の2008年には、東京国際フォーラムおよび丸の内地区への期間中の来場者数が100万人を突破。リーマン・ショック後の開催となった昨年は、全体の来場者数こそ71万人となったが、これは開催期間が5日間から3日間に縮小されたためで、音楽祭のチケット券売率は94.4%とむしろ最高値を記録した。

 2005年のスタートから、再開発の歩みと軌を一にして、音楽にあふれた街・丸の内の「町おこし」イベントの中心になったとも言えるこの「ラ・フォル・ジュルネ」が今年、日本の各地に進出している。6年目となる東京をはじめ、開催3年目を迎える金沢、初開催になる新潟、そしてびわ湖ホール(滋賀県大津市)を加えて4カ所で開催されるのだ。

 日本以外では「ラ・フォル・ジュルネ」発祥の地ナント(フランス)、ビルバオ(スペイン)、リオデジャネイロ(ブラジル)、そして今年は音楽祭のテーマでもある作曲家ショパンの故郷であるワルシャワ(ポーランド)でも初開催されるが、世界の中でも同じ国の中での4カ所開催は初めてだという。