~~経営者は、明確なビジョンを分かりやすい言葉で示し、そのビジョンに向けての道筋
を明らかにして、自らコミットメントする~~
資生堂は、国内はもとより海外でも高級化粧品メーカーとして知られるグローバル企業である。1872年の創業当初から、138年もの間、「書生堂」と呼ばれるほどに人材育成に力を入れ、「人の力が最も大切な経営資産である」との理念が受け継がれてきている。
国内化粧品事業を取り巻く環境が厳しさを増す中にあって2005年に就任した前田新造社長は、「真にお客さまから支持を得られる会社」を目指し、経営改革のための3カ年計画をスタートさせた。
100%お客さま志向の会社に生まれ変われ!
まず、一人ひとりのお客さまからの「信頼」なくして成長はあり得ず、「お客さまから評価をいただくこと」を全社員共通の価値観にしていくことこそ最大の課題と位置づけた。
そのうえで、「資生堂の経営ビジョン=夢」を全社員が共有し、それまでのしがらみや慣習にひきずられることなく、徹底して無駄を排除し、その大胆な事業構造や経営機構の組み換えに思い切ってメスを入れ、強靭かつ、変化にしなやかな会社へと変わっていくことを宣言した。
具体的には、次の3つをビジョンに掲げ、これらを実現させるための改革の道筋を明示。さらに焦点を絞り、具体策を推進してきた。
●100%お客さま志向の会社に生まれ変わること
●大切な経営資源であるブランドを磨き直すこと
●「魅力ある人」で組織を埋め尽くすこと
社員が本来持つべき使命感をよみがえらせる
ビジョンの1つである「100%お客さま志向の会社に生まれ変わること」を実現するために、店頭で顧客と直接接しているビューティーコンサルタント(BC)の活動革新に取り組んだ。
資生堂の従業員数はおよそ2万6000人(2007年4月現在)、この4割に当たる約1万人を占めるのがBCである。このBCの顧客応対の質は、そのまま資生堂の企業イメージにつながりやすい。
資生堂は長年、BCに売上高や推奨品販売数量に一定のノルマを課してきたが、これらを撤廃するという大胆な改革を行った。「売り上げが落ちる」「BCが怠けるのでは」といった声もある中で、「お客さまと直接接しているのはBCである。
BCはお客さまに美しくなってほしいと願って入社してきたのに、ノルマはお客さまの満足よりも販売を優先させかねない」として決断したものだった。
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