ストレス社会を生き抜くサラリーマンにとってうつは決して他人ごとではない。最終回となる今回は、うつをさらに深く理解し、予防する方法などについて聞いた。
――前回は、うつの治療法について詳しく教えてもらいましたが、今回はまず再発予防について聞きたいと思います。症状が落ち着いてから職場復帰する場合には、どんな注意が必要でしょうか?
平木英人 できるだけ無理しないことです。気分が落ち着いているのは薬を飲んでいるからだということを忘れずに、1カ月程度は半日勤務でスタートしてほしいと思います。次の1カ月は以前の3分2程度、それ以降はフルタイムでもいいですが、残業は当面避けましょう。
――会社に理解してもらうことが必要ですね。
平木 大きな企業であれば産業医がいるので、その指導の下にプログラムを作ってゆっくりと社会復帰できますが、そうでない企業では難しい現実があります。ですから、会社側にきちんと話して正しく理解をしてもらい、職場の環境を整えてもらうことが大事です。
有能な人がなりやすい
――うつ病を発症しやすいタイプというのはありますか。
平木 うつ病になりやすい性格の分類法はたくさんありますが、最も代表的なものとしては、メランコリー親和性気質というのがあります。これは、秩序を重んじ、勤勉で綿密、責任感が強く、協調性に富むという性質を持っています。
――サラリーマンとしては素晴らしい要素ばかりですね。
平木 そうなんです。会社にとっては非常に有能な人が多いんです。いい加減ででたらめな人とは対称的です。
――うつになりやすい人というのは、何か心が弱いというようなイメージが社会にありますが。
平木 それが最大の偏見です。今の社会は、うつを発症した人に対して「精神的に弱い」というレッテルを張りがちですが、それは大間違い。そうじゃない。何度も言いますが、非常にまじめで、有能なのです。そういう誤解が多いから、いまだにおかしな風潮がある。