――前回、禁煙に挑戦する場合、専門施設である禁煙外来を使った方が圧倒的に禁煙成功率が高いことをお聞きしましたが、禁煙外来を持つ病院はまだそれほど多くはないようですね。
禁煙の「誓約書」を書く
作田 禁煙外来を設置するためにはいくつか条件があります。まず、病院施設内は完全に禁煙でなければなりません。加えて、禁煙外来専任の看護師がいなければなりません。
――それ相当の体制をつくっておく必要があるわけですね。
作田 そうです。さらに、保険適用されるためにも条件があります。ブリンクマンインデックスというものを計算して、その数値が200以上でないと保険が適用されません。計算式は、1日に吸うたばこの本数×喫煙年数。
例えば、1日に20本を10年吸っていれば200になります。
――医療費を抑えたい国の姿勢が反映されているのでしょうが、おかしな話ですね。
作田 本当にそうです。年数は本来関係ありません。吸いだしたらみんな中毒になるわけですから。特に、年数制限があると、若者が保険適用されなくなります。これでは若者の喫煙者がなかなか減少しません。由々しき問題です。私たち禁煙学会としては、これを廃止するように国に対して訴えています。
――禁煙外来を受診してまずすることは何ですか?
作田 質問に答えてもらって依存度をはじき出すニコチン依存度テストを行い、さらに、たばこをやめるという誓約書を書いてもらいます。これを書いて初めて薬を処方します。
――誓約書を書くんですか?
作田 もちろん法的拘束力があるわけではありませんが、やめる決意があるかどうかを見るんです。これは大事なポイントですね。
――「いや、それはちょっと」という方もいらっしゃいますか?
作田 もちろん、いらっしゃいます。そういう方の場合は、決意ができるまで待つことになります。
――本人が吸っているのかいないのかは、分かるのですか?
作田 検査機器があるのですぐに分かります。息を吐いてもらって、一酸化炭素の濃度を計測します。たばこを吸っていると、最低でも約10PPM、多い人では40PPMの一酸化炭素が検出されます。
――呼吸から検出されるということは、血液中の一酸化炭素濃度も高くなっているということですか?
作田 そうです。これは怖いことです。
皮膚に貼る「パッチ」
――治療法について教えてください。
作田 薬を使います。大別すると貼り薬と飲み薬の2つがあります。まず貼り薬については、「パッチ」と呼ばれるものを、1日に1回、腕や胸などの皮膚に貼りつけます。