前回に引き続きホメオパシーを取り上げる。この療法については賛否両論がある。特に、近年になってようやく知られ始めた日本では、ホメオパシーに対して激しい拒絶反応を示すケースも少なくない。
長年世界中で多くの人が用いてきた代替医療
それは、ホメオパシーは非科学的だという理由による。
ロンドン大学 ユニバーシティー・カレッジの薬理学者デービッド・カフーン(David Colquhoun)氏は「大学がホメオパシーについて科学の学位を授けることは、科学ではなくて反科学である」と批判しているし、そのほか、ホメオパシーの有効性について反論する科学者や論文は多い。
確かに、化学薬剤のように明確な作用機序はないし、エビデンスが整っているわけでもない。しかし、あえて今回取り上げたのは、長年にわたって世界で多くの人が用いてきた伝承医療であり代替医療だからだ。
その是非については、個々が判断していただくとして、「こういう医療もあるよ」という1つの選択肢として認知しておくことは、意味があると考えたからだ。
代替医療の持つ意義
そもそも伝承医療や代替医療には、いわゆる西洋医学のような明確な作用機序やエビデンスがないものが多い。けれども、だからといって、全く意味がないとは思わないのだ。
例えば、がん治療の現場を考えてみよう。がん治療の主流は、言うまでもなく3大治療だ。手術で切除できればそれが一番いい。完治率も高い。
手術ができない状態ならば、放射線や抗がん剤によってがん細胞を叩く。縮小するケースも多く、延命効果は期待できる。
しかし問題は、この3大治療ができない、手の施しようがないと医者が判断した場合だ。ほとんどの場合、そこで治療は終わる。緩和ケアに入っていくか、あるいは「あとは好きなことをしてください」と体のいい断りの言葉と一緒に病院を追い出されることもある。
患者は、最期まで諦めたくない。やれることは何でもやりたいのだ。けれども何もやってもらえない。
こうした「がん難民」にとって意味を持つのが代替医療である。サプリメント、気功、鍼、漢方、各種運動療法、各種イメージ療法、アロマセラピーなどなど、その種類は多岐にわたる。