山口県や九州北部を襲った集中豪雨は、多くの尊い命を奪い去った。私の地元、山口県でも防府市の特別養護老人ホームで大きな被害があり、災害時要援護者と言われるお年寄りらが犠牲になった。

 このように甚大な被害をもたらす集中豪雨は、ゲリラ豪雨と呼ばれる。ゲリラのごとく突然現れて、私たちにワッと襲いかかるからである。豪雨だけではない、先日も群馬県の住宅地で突然竜巻が発生し、被害をもたらした。

 これまでの地震や台風といった自然災害に加え、今はこうした新しい災害の現象が増加している。まちづくりの際にも、この新しい現象を念頭において、ハード面、ソフト面とも整備していく必要があるだろう。

昨今の災害は天災か人災か

 昨今の新しい自然災害に関しては、今までにない2つの側面を指摘することができる。

 1つは異常気象という側面である。これまでなかったようなことが起こっているのだから、それは「異常」と言ってよいのだろう。

 もう1つの側面は、被害の拡大という部分である。これまでは、雨が降ったからといって、ここまで被害が出ることはめったになかった。しかし、1時間に100ミリを超えるような集中豪雨には、私たちのインフラは対応できていないのだ。 

 ここで誤解してはならないのは、これら新しい自然災害は、決して天災とは言えない点である。なぜなら、まず異常気象という側面については、地球温暖化が原因だとするならば立派な人災である。そしてその可能性は限りなく高い。

 また、被害の拡大という側面では、インフラが追いついていないことが問題なのだから、明らかに人災であると言える。つまり、いずれにしても人災なのだ。

 この認識は重要である。天災だと割り切ってしまうと、対応はどうしても消極的になる。行政もこれ以上は仕方ないなどと言い出すのだ。ところが、人災とあらば、それはもう目の色を変えて対応せざるを得なくなるだろう。

区役所で防災担当だった私

 名古屋市役所に勤めていた当時、区役所の防災担当というのをやったことがある。人口10万人ほどの区で、たった2人だけ防災担当が置かれていた。そのうちの1人だったのである。

 運悪く、私が担当した2年間は「防災当たり年」などと言われるほど、災害の多い年だった。何しろゲリラ豪雨で私の担当していた区だけ甚大な被害が発生したのだ。一件一件被害に遭った住宅を調査して回り、対応に追われたのを覚えている。